クルマ好き歴ウン十年、みずからラリーに出場し、好タイムでの完走や不意の横転までやってのける国沢光宏氏。クルマに関することならなんでも答えてくれるだろうと編集担当がムチャ振り。国沢さん、「SDV」について教えてください!!
※本稿は2025年10月のものです
文:国沢光宏/写真:テスラ、ホンダ
初出:『ベストカー』2025年11月10日号
購入後もソフトウェアでクルマが進化する
本コラムの担当編集から、
「クルマがSDVの時代になるとソフトウェアが主役になって、スマホのようにアップデートが常に行われるようになる点が大きな特徴として挙げられます。クルマのスマホ化によってさまざまな点で今のクルマと変わってきて、車載オーディオも変わるといいます。具体的にはオーディオは何が変わるのか?」
……という超難しい質問に答えるよう要請された。
『SDV』という単語、今後普通に使われるようになるかもしれないので、オーディオの前に説明しておきたい。
SDVとは「ソフトウェア定義型車両」とも呼ばれるものの、さっぱりわからないと思う。簡単に言えば「スマートフォンのように、購入後もソフトウェアのアップデートによって新しい機能が追加されたり、性能が向上したりするのが特徴」と言われている。
すでにテスラが取り入れてます。具体的に書くと、ADAS用のカメラが5個付いているとしよう。
最初はアダプティブクルーズとレーンキープ、自動ブレーキ用としてしか使えなかったものの、ソフトウェアをアップデートするとハンズフリー走行までできてしまう、といった具合。スマホのカメラも同じハードながら、さまざまな機能が加わり使い勝手としちゃ別物になる。それと同じだ。
オーディオに区分していいのか不明ながら、新型プレリュードは車内のスピーカーからエンジン音を出す。
考えてみたら爆音マフラーを付けると本人が楽しいだけで、ほかの人からすれば単なる迷惑。車内スピーカーだったら無害です。そして上手に演出してくれると、モーターで走ってるのにエンジン車みたいになる。読者諸兄がイメージしているよりずっと本物っぽい。
SDVの時代になればスマートウォッチの文字盤の如く、エンジン音を変えられる。気分によって選べばよろしい。
その時に重要になってくるのがスピーカーのクオリティだ。安っぽい鳴り方しかしないスピーカーだとリアルな音にならない。メインスピーカーのほか、高音用のツイーターや、低音用のウーファーも必要。相当凝ったシステムが要求されることだろう。
となれば本来の目的である「音楽を聴く」時のクオリティだってググッと上がる。音楽ソースはもはやデジタル。よく「レコードの味がいい」みたいなことを言う人もいるけれど、最新の技術レベルだとレコードっぽい音だって出せてしまう。
いずれにしろ公道で無謀な運転はできない時代になった。ハードはそのまんまで、走りを含めクルマの味を変えるようなことが普通になると思います。













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