クルマ界では「好景気の時には丸いクルマ」、「不景気になれば四角いクルマ」がなぜか売れるという説があったりする。バブル期には日産 Be-1のような丸みのあるクルマが注目されたが、景気がいいといえない現在、ハスラーが絶賛され、車内スペースの隅々まで使えるスーパーハイトワゴンが大ヒット。“四角というカタチの命運を背負ってきた”クルマたちの泣き笑いを掘り起こしてみたい。(本稿は「ベストカー」2014年5月10日号に掲載した記事の再録版となります)
【画像ギャラリー】「不景気になれば四角いクルマが売れる!?」ってホントか!? 初代スズキハスラーの大ヒットで考える「四角いクルマ」論2014(16枚)画像ギャラリーハスラーとネイキッド。大ヒット車とイマイチ車。その差はどこにあるのか?
作り手のスズキ側がビックリの、発売10日間で2万5000台受注という初代スズキハスラー。工場は増産体制で製造中の大ヒット軽自動車だが、その遊び感覚満載の斬新コンセプトは何かを思い出させる……と思ったら、そうダイハツネイキッド。1999年に登場し、剥きだしボディの鮮烈さで注目を浴びたモデルだ。
「ハスラーと同じコンセプトを15年も前に採用したのがネイキッド。こちらもパキパキ系の四角いデザインで、パーツも豊富。それらの狙いはハスラーと似ていたんだよね」
と、さっそうと現われ解説してくれたのはおなじみの片岡英明氏。注目度は高かったが、販売6年間の平均月販台数は1270台とイマイチで2005年に絶版。なぜネイキッドは大ヒット車のハスラーのようになれなかったのだろうか?
「販売が低迷した理由のひとつは、デビュー時期が早すぎたこと。軽の規格が変わった世紀末は、ワゴンRとムーヴがハイトワゴンブームを築き、アゲアゲだった時代。広さが正義だから子育て世代は華やかさの足りないネイキッドではなくムーヴを選んだ。
パッケージング至上主義の風潮に加え、タントの誕生も大きく影響。さらに広くて快適なスーパーハイトの登場が、皮肉にもネイキッドに引導を渡す結果に。ネイキッドの登場がもう少し遅く、派手さがあればヒット作になったかも……」と片岡さん。
それを証明するように、今ネイキッドの中古車が静かなブームを呼び、女性が探すケースも多いそうだ。
クロスロード、エレメント、そしてカローラルミオン。「鳴かず飛ばず」のワケは!?
見出しの3台の四角いクルマ、「鳴かず飛ばずのワケは?」と書いたが最初の2台はすでに絶版車。この3台の年間平均販売台数を紹介すると、クロスロードは8270台(2007~2010年)、エレメントは1045台(2003~2005年)、カローラルミオンは1万3050台(2007~2014年)といずれもかなり寂しい数字だ。
なぜ、こういう数字なのだろう。「四角いクロスオーバーというのは進化の流れに逆行しているからですよ」と、ふらりと現われたおなじみの鈴木直也氏は言う。
「これらはクロスオーバーに分類されるSUV、その四角いカタチが受けなかったのでは? ジープに代表されるゴツくて四角い元祖4WDが、どんどん文化的&都会派になる流れのなかで、逆行しているからね」
そして、絶版の2車種について具体的に指摘する鈴木氏。
「クロスロードは平面的なパネル構成や小さな窓面積で、ちょっとミリタリー車のイメージを狙ってるし、エレメントはボディカラーと黒色の樹脂パネルの対比で、オフロードテイストを強調。どちらも、都会派に対するアンチテーゼそのもの」
軟派傾向に走る現在のクロスオーバーにピリリとスパイスを効かせた感じがするこれら四角グルマだが……、残念。





















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