冬の朝、エンジンをかけてしばらく放置する暖機運転。マフラーから白い煙があがるのが当たり前の光景だったが、現代においては不必要と言われることが多い。その理由をエンジンの進化と共に解説する。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC
昔のクルマは確かに「暖機運転が必要」だった
冬の暖機運転の必要性はキャブレター式エンジンが主流だった頃に由来する。その頃のエンジンは当日のコンディションに左右されることがあり、始動直後の燃焼が安定しないことがあった。さらに、エンジン内部の金属部品も温度が低い状態ではクリアランスが適正ではなく、オイルも硬いため潤滑が不十分。そのため、アイドリングでエンジンの温度を上げる暖機運転が必須だったのだ。
一方、現在のエンジンで主流のインジェクション(電子制御式燃料噴射)は、エンジン内部の温度や外気温、燃料噴射量、空気量などをリアルタイムで制御する仕組み。これにより、冷間時でも燃焼状態が安定するようになっている。また、金属部品のクリアランス精度が向上。始動直後でも走行できる技術が進化し、暖機運転の必要はほとんどなくなった。
エンジンオイルの進化も時間短縮に貢献
また、エンジンオイルの進化も暖機運転の時間短縮に大きく寄与。エンジン部品の精度向上に加え、現代のエンジンオイルは、燃費向上のために低い粘度でも油膜を保持できるように進化している。その結果、低気温下でも優れた潤滑性を発揮。エンジン始動直後でもエンジン内部の摩耗を抑え、スムーズに走り出すことが可能になっている。
ただし、極寒地(氷点下10℃以下など)では、冷え切ったエンジンオイルの流動性を確保するために数十秒程度の暖機が有効。また、長期間クルマに乗らなかった場合もエンジンオイルを循環させるために多少のアイドリングはさせたほうがいいだろう。
現代のクルマに有効なのは「暖機運転」ではなく「暖機走行」
ここまで暖機不要と述べてきたが、窓ガラスが凍結している場合のアイドリングは当然必要。できればエンジンがある程度温まるまでは暖機走行を推奨したい。3000rpm以上を避ける、急加速、急負荷を避けて数分間だけ優しく走るといった方法。走りながらエンジン温度を上げることが合理的で、エンジンにも優しいといえる。
長時間のアイドリングは燃料消費だけでなく騒音や排気ガスの問題もあり、条例でアイドリングが制限されている地域もあるなど、社会的背景の変化も大きい。寒い朝でも長い暖機を控え、走りながら優しくクルマを温めることを心がけよう。






コメント
コメントの使い方暖機運転の話、ドイツでは1980年代に既に暖機運転、真冬でも、をやっていません。法律で禁止され厳しい罰則もあります。
長年の生活の中で、真冬に、暖機運転せず、アウトバーンに流入しても不具合など発生しませんでした。もっとも、エンジンオイルは毎年交換していました。
日本は、日本車は40年かかって暖機運転不要となったのですか????
車的には必要ないかもしれんけど、乗り込んだ直後から暖かい車内がいいから、室内を暖かくするために暖機運転は必ずする。冬なら20分くらいかな。