日本全国で、数秒に1台のペースで救急車が出動している現在。これだけの救急車両が緊急走行をしていたら、運転中に緊急走行現場に出くわすことも多くなるだろう。救急車や消防車が来ても慌てないように、緊急車両が近づいてきたときの、道の譲り方を改めて確認しておきたい。
文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=jaraku@Adobestock)
【画像ギャラリー】もしもの時のために!! 緊急車両への対応をおさらいしよう(3枚)画像ギャラリー結構多いぞ緊急車両の数
緊急車両とは、人命救助や火災対応、事故対応などの「急を要する」事態に利用される自動車の事だ。メジャーなところでは、パトカー・救急車・消防車などが挙げられる。
また、自衛隊車両や、電力会社・ガス会社などの応急作業車・JAFなどのレッカー車両・ドクターカー・日本赤十字社などの血液や臓器運搬車両なども、緊急車両にあたるものだ。
すべからく、これらの車両が緊急車両として扱われるときは、道路交通法の規定によってサイレンを鳴らし、赤色の警光灯を付ける義務がある。公的な車両以外にも、赤色の警光灯を付けてサイレンを鳴らしていれば緊急車両なので、スムーズに道を譲ってあげたい。
なお、警光灯には様々な色があり、黄色は道路維持作業用自動車のもの、みどり色は輸送車両のもの、青色は自主防犯パトロールのものとなっていて、これらは緊急車両とは異なる。
緊急車両に道を譲るのは法律で決められた義務
道路交通法第40条には次のように書かれている(※原文を読みやすくしています)。
交差点又はその付近において、緊急自動車が接近してきたときは、(中略)車両は交差点を避け、かつ道路の左側(左側によることが緊急自動車の通行を妨げる時は右側)に寄って一時停止しなければならない。
基本は道路の左側によって、緊急車両に道を譲ることとなっている。右折待ちなどで、中央分離帯側に居る時には、道路の中央部を緊急車両の通り道とするために、左ではなく中央分離帯側の右へとクルマを寄せることも必要だ。
まずは臨機応変に、緊急車両の走行ルートを作るため、クルマを端へ寄せて、交差点内を避けて一時停止するというのが、基本的な対処法である。
また、高速道路で緊急走行に出くわした場合には、追い越し車線を緊急車両のために空けておこう。安全を確認して速やかに走行車線へ戻り、緊急車両が追い越し車線を走行するのを妨げないようにしたい。
ハザードは付けるのかどうか問題
緊急車両へ進路を譲る際に、ハザードランプを点灯するべきかどうかというのは、色々と議論されるテーマだ。法規上、ハザードランプの点灯は義務付けられていないが、筆者としては点灯して道を譲ることをおすすめしたい。
というのも、筆者の知人に緊急車両の運転をする人がいる。その知人曰く、「譲られる側からするとハザードランプを付けて待ってくれているクルマの方が、譲る意思がハッキリと分かって抜きやすい」というのだ。一刻も早く要請のあった場所まで到着しなければならない緊急車両にとって、ここは大きなポイント。
ただ、ハザードランプを点灯させて緊急車両に抜いてもらうということを知らない人も多くいる。ハザードランプを点灯して左に寄ったら、後続車両にすごい勢いで抜かれたというドライバーの声もあり、緊急車両を通すための行為が重大事故につながる恐れもある。
緊急車両への道の譲り方と、ハザードランプの使い方は、多くのドライバーが知っていてほしいところ。どのようにして周知させていくかが、日本の道路環境を良くしていくためのカギになるだろう。
少なくとも、法規で決められた譲り方は、全ドライバーが責任をもって履行できるようになっていてほしい。今日からできる緊急車両対策、是非、実践を。






コメント
コメントの使い方「緊急車両への対応」と言いつつ「交差点近傍」の話しか無いのは不充分かな。交差点近傍以外なら法律上は「左に寄せて進路を譲れば良く,一時停止する義務は無い。」実体験だが,都内の環七を走行中に後方から緊急車両が接近してきたので自車を左に寄せて「停車した。」しかしルームミラーを見ると,後方にはトレーラーが居り,自車が停車したことで左に寄せきれず進路を塞いだまま。「停車」したら不都合なケースである。