なくなることが「ほぼ」確定しているエンジン車。「エンジン車が無くなったらクルマ降りる!」というクルマ好きもいるだろう。そこで、そんな人が「最後の恋」をするにふさわしい、小排気量自然吸気エンジン搭載車を選んでみた!!
※本稿は2025年10月のものです
文:清水草一/写真:マツダ、トヨタ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年11月26日号
最後に恋するエンジン車……マツダ ロードスター(4気筒1500cc)
小排気量自然吸気エンジンは、ホンダ1.6 VTECに代表されるように、かつてはスポーツモデルの定番だったが、現在は実用性重視のエンジンがほとんどになり、カーマニア的には衰退している。
そんななか、ロードスターの1500cc自然吸気エンジンは、性能的には中庸ながら、中高年が最後に恋するのにふさわしい。
ロードスターに恋する場合、エンジン主体に恋する者はいないだろうが、小改良を繰り返し、徐々に満足できるものになっている。
2年前のマイナーチェンジでは、以前不満を感じた高回転域のフィーリングが改善され、トップエンドまでスムーズに回るようになった。アクセル全開時の吸気音は、エンジンでしか味わえない快感だ。最高出力は、従来比4psアップの136psとなった。
最大トルクの15.5kgmというスペックは、今どきのスポーツカーとしては世界のボトムだが、だからこそ、こまめにシフトチェンジしてやる必要があり、エンジンのヨロコビを満喫できるという寸法だ。
6ATでもロードスターの楽しさは充分味わえるが、それはデザインやオープンエア、操縦性の楽しさであり、積極的にエンジンを味わうならMTに限る。ロードスターは、ジムニー同様、エンジン性能が高くないがゆえに、エンジンを楽しめるタイプである。
最後に恋するエンジン車……トヨタ ヤリス(3気筒1500cc)
ヤリスの3気筒1.5リッターは、小排気量自然吸気エンジンの大穴だ。CVTだとただの実用エンジンだと思ってしまうが、6MT車に乗ると、そのフィーリングのよさに驚愕する。
最高出力120ps、最大トルク14.8kgm。ロードスターのエンジンよりスペックは低いが、回転フィールに関しては、こっちのほうが上かもしれない。とにかく気持ちよくスムーズに回るのである。
ヤリスの6MTに乗るなんて、超が付くカーマニアでもためらってしまうが、そもそもこのクラスでMTが存在するだけでウルトラ希少。トヨタにしかできない旦那芸であり、カーマニアへのサービスだ。そのサービスを味わう勇気のある者は、大穴的な熱い中高年カーライフを得るだろう。
【ところで……】ロードスターのベストグレードはどれなのか?
ロードスターの傑作と言えば、初代のNAと現行のNDだが、個人的には、NDはNAを超えたと感じる。では、NDのベストグレードはどれかというと、これまた個人的な感想だが、Sレザーパッケージの6MTだ。
車両重量1030kg、価格は349万8000円。この軽さでこの価格で、これほどステキなクルマは、世界中探してもほかにない。
















コメント
コメントの使い方いつかはNDオーナーになりたい。旦那が所有しているが大切にしている為絶対貸してはくれない。歯痒い。