遠くない未来に姿を消すとみられるエンジン車。それはディーゼルエンジンも同様だ。力強いトルクと高い燃費性能、ガソリン車よりも燃料代が安く、最近のディーゼルはウルサクもない。これこそ「最後に恋するエンジン車」にふさわしい!?
※本稿は2025年10月のものです
文:清水草一/写真:トヨタ、マツダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年11月26日号
最後に恋するエンジン車……トヨタ ランドクルーザー70(4気筒2800ccディーゼルターボ)
ランクル70の2.8リッターディーゼルターボは、最大トルク51.0kgm。2.3トンの車体を軽々と引っ張る。エンジンはランクル250と同じなので、そっちでもいいが、デザインの味わいは、クラシックな70のほうが濃い。
そのエンジンフィールは、最新の欧州製ディーゼルに比べると、音や振動にやや古めかしさがあるが、それがまたこの古めかしいデザインにピッタリ合い、かえって気持ちいい。快適性は問題なし。内燃エンジンのヨロコビもたっぷりある。
燃費も悪くない。フツーに走ってリッター18キロくらい行く。軽油の単価を考えれば、超武骨なボディのわりに、燃料代は望外に安い。これぞディーゼルの美点。重いクルマはディーゼルに限る!
最後に恋するエンジン車……マツダ CX-60(直列6気筒3300ccディーゼルターボ)
ランクル70のエンジンが、若干古風な味を残したディーゼルターボなら、CX-60のそれはきわめて現代的で、音や振動はガソリンエンジンに肉薄している。しかもこのエンジンは、希少な直列6気筒。これだけで価値があるぜ。
直6というとBMWの「シルキー6」が有名だが、CX-60はディーゼルなので、シルキーと言うより、大排気量アメリカンV8のような豪快なフィーリングだ。こういうエンジンは、国産にはほかにない。
燃費を稼ぐため、馬力やトルクのスペックは控え目だが、それでも最大トルクは51.0kgm。1.8トンのボディなど、ライトウェイトとすら言える。しかも燃費は、高速巡行ならリッター20キロに迫る。
乗り心地が硬いという評価があったが、マイナーチェンジでかなり改善された。直6らしいロングノーズを、死ぬ前に一度味わってみないか?
ディーゼルのヨロコビ
かつてディーゼルのウリはトルクと燃費だけ。アイドリングでのガラガラ音や振動はヨロコビとは無縁だったが、現代のディーゼルターボは、車内にいればまるでガソリン車。官能性すらある。それでいてトルクや燃費のメリットはそのままだから、一度乗ったらやめられない。
最大の快感ポイントは、高速での中間加速だ。低い回転域を保ったまま、ぐぐっと前に出る感覚は、病みつきになるぜ!



















コメント
コメントの使い方『燃費も悪くない。フツーに走ってリッター18キロくらい行く。』
リッター10キロがいいとこ…
適当が過ぎる
ウチにもあって大事にしてるものの、修理費と預け期間が一度とんでもない額になったので、気持ちよく普段使いできる感じじゃない
長距離だと音や振動気になってくるので、ホントは街中や実家の山での日常でこそ活用したいトルクなんだけどね
後処理無しの古いディーゼルは維持が楽だし、むしろ内燃機って雰囲気が強くて操ってる感も強い。
今のディーゼルはどうだ?燃料が軽油ってだけで緻密過ぎてらしさが大分スポイルされていないか?