売ることだけが仕事じゃない! 意外と知らないディーラー営業マンの1日

売ることだけが仕事じゃない! 意外と知らないディーラー営業マンの1日

 自動車ディーラーに行くと、私たちを出迎え、案内説明し、商談という厳しい折衝までも行う営業マン。自動車ディーラーの顔とも言える人だ。一見すれば「クルマを売る」仕事なのだが、ユーザーの見えないところでは他の仕事が盛り沢山。販売以外で営業マンは何をしているのか、ディーラーのお仕事の裏側を紹介していきたい。

文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=buritora@Adobestock)

【画像ギャラリー】自動車営業マンは大忙しな分やりがいも多い仕事だ!!(3枚)画像ギャラリー

「売る」以外の仕事が意外と多くて大変だ

週末ともなると1日に2~3件ほどの商談を抱え、1日中売りの仕事をすることも珍しくはないが、逆に平日は1日も商談が入らないという日もあり、こうした日は売る以外の仕事がメインになっている(buritora@Adobestock)
週末ともなると1日に2~3件ほどの商談を抱え、1日中売りの仕事をすることも珍しくはないが、逆に平日は1日も商談が入らないという日もあり、こうした日は売る以外の仕事がメインになっている(buritora@Adobestock)

 自動車ディーラーの花形とも言える営業マンの仕事。営業マンという名称も最近では使われなくなってきて、セールススタッフやコンサルティングスタッフなどとも呼ばれる。

 こうした業種の主たる仕事は、新車・中古車の販売だ。しかし、その仕事内容の大半は販売以外のことに割かれているのを知っているだろうか。

 仮に1日8時間労働とすると、販売(商談)にかかる時間は長くても1日2時間程度。残りの6時間は別な仕事をしていることになる。

 週末ともなると1日に2~3件ほどの商談を抱え、1日中売りの仕事をすることも珍しくはないが、逆に平日は1日も商談が入らないという日もあり、こうした日は売る以外の仕事がメインになっているのだ。

 しかし、この売る以外の仕事が、毎月の目標台数を達成する営業マンにとって、欠かせない仕事だったりする。

お客さまとの関係づくりが営業マンの1番大事な仕事

令和の営業マンの能力は、新規開拓よりも既存のお客さまに「また買ってもらう」ことの方が重要視されている(metamorworks@Adobestock)
令和の営業マンの能力は、新規開拓よりも既存のお客さまに「また買ってもらう」ことの方が重要視されている(metamorworks@Adobestock)

 最近の自動車ディーラーでは、営業マンが外に出ることを良しとしないところが多い。これが、来店型営業スタイルと呼ばれるもので、足と時間を使った御用聞きではなく、来店するお客様への接遇でコミュニケーションを深めていく必要があるのだ。

 すなわち、営業マンの最も大切な仕事は、朝から晩まで切れ目なく来店する整備目的のお客様(担当顧客)に合わせて、一日のスケジュールを作り、最近の様子や世間話をしながら顧客のニーズを探ることにある。

 具体的には、入庫してきたクルマの状況を見ながら、次のクルマの提案や、紹介依頼、家族の成長に合わせたクルマの準備などを随時お手伝いするというもの。

 令和の営業マンの能力は、新規開拓よりも既存のお客さまに「また買ってもらう」ことの方が重要視されている。顧客と太くて長い関係性を作り上げることに、1日の大半の時間を注いでいくのだ。

テレアポ・メール・各種準備となんでも屋さんの営業マン

数字とにらめっこのようにも見えるが、実際には数字にならない仕事、数字では表せない仕事も多く、非常にオールマイティな存在である営業マン(ponta1414@Adobestock)
数字とにらめっこのようにも見えるが、実際には数字にならない仕事、数字では表せない仕事も多く、非常にオールマイティな存在である営業マン(ponta1414@Adobestock)

 商談や顧客対応などのスケジュールはお分かりいただけたと思うが、それ以外の空いている時間は何をしているのか見ていこう。

 まずは、購入検討中の顧客に対してのあと一押しの連絡だ。電話やメールなど、相手に合わせた連絡方法で、次のアポイントを取りに行く。アポが取れたら戦略を考える商談準備も空き時間で行われる仕事のひとつだ。

 さらに準備はいろいろな物や場所で発生する。例えば、展示車両の洗車や納車前のクルマの準備。販売に必要な書類の作成や整理、ショールームの清掃や車両の入れ替えなど、営業マンの仕事は非常に多岐にわたる。

 結構タフな人しかこの仕事をやり遂げるのは難しいかもしれないが、やりがいも多い仕事だ。特にお客様からの「ありがとう」や「○○さんに頼んでよかった」などの声を聞くと、常日頃の厳しい時間も忘れられる。

 基本的には人付き合いが好きで営業マンをやっている人が多いから、お客さまからの声が、営業マンの力の根源となるのだ。

 数字とにらめっこのようにも見えるが、実際には数字にならない仕事、数字では表せない仕事も多く、非常にオールマイティな存在である営業マン。

 最後に、この業界で長く仕事をしてきた筆者から一言。ディーラー営業マンを目指すなら、話し上手よりも聞き上手の方が大成する可能性が高い。不思議と口の立つ営業マンよりも、寡黙で聞き上手の営業マンの方が成績の良いことが多かった。

 これから自動車業界で働きたいという人の、一つの参考に本稿がなれば嬉しい。

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