冬の降雪時になるとニュースで必ず目にする「雪道での立ち往生」や「スリップ事故」。その多くが、実は基本中の基本を知らなかったことが原因だ。とくに都市部に住むドライバーほど「少しの雪なら大丈夫」と油断しがち。しかし、雪道をノーマルタイヤで走る行為は明確な違反であり、事故以前の問題でもある。都会に住むドライバーに向けて知っておきたい雪道走行の基礎を解説していきたい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、国土交通省
ノーマルタイヤで雪道を走るとどうなるのか
結論から先に言えば、雪や凍結した道路をノーマルタイヤで走行するのは道路交通法違反である。積雪や凍結があるにもかかわらず、滑り止め装置を装着せずに走行した場合、整備不良と判断される可能性がある。これは高速道路だけでなく一般道も同様だ。
ノーマルタイヤは低温下ではゴムが硬化し、雪や氷を噛む性能をほぼ失う。そのため、発進できない、止まれない、曲がれないという三重苦に陥る。
とくに怖いのは、自分では「慎重に運転しているつもり」でも、わずかな下り坂やカーブで制御不能になる点だ。ブレーキを踏んだ瞬間にロックし、そのまま滑走するケースは珍しくない。
都市部では「朝は晴れていたが、夕方から急に雪が降った」という状況も多い。こうした場合でも、タイヤがノーマルである以上、走行を続ければ違反となるリスクがある。結果として事故や立ち往生を招けば、自分だけでなく周囲の交通にも多大な迷惑をかけることになる。
夏タイヤを装着したままで雪道を運転すると『公安委員会厳守事項違反』に該当し、反則金6000円(普通車)の罰則があるのだ。詳しく挙げると道路交通法第七十一条(運転者の厳守事項)の六項にて、“……中略、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項”とある。
よって、各都道府県の公安委員会による道路細則でスタッドレスタイヤの装着やタイヤチェーン等滑り止めの措置をしなければいけないことが定められている(※沖縄県は除く)。
雪がそんなに積もらなかったから平気だと過信することなかれ! 外気温計をこまめにチェックして、プラス3度を下回るようなら「警戒モード」に頭を切り替えて走ろう。

都会派ドライバーがおさえるべき雪道走行の基本
雪道を安全に走るための第一条件は、スタッドレスタイヤもしくはタイヤチェーンの装着だ。スタッドレスタイヤは雪道や凍結路で性能を発揮するよう設計されており、冬季にクルマを使うなら必須装備といえる。チェーンは緊急用として有効だが、装着や走行条件に制約があるため、万能ではない。
運転操作も重要だ。雪道では「急」のつく操作をすべて避けることが基本となる。急発進、急加速、急ブレーキ、急ハンドルはいずれもスリップの原因だ。アクセルはじわりと踏み、ブレーキは早めに、弱く、長く使う意識が必要である。
また、車間距離は乾燥路の倍以上を目安に取るべきだ。スタッドレスタイヤを履いていても、制動距離は乾燥路より確実に伸びる。前車が止まれたからといって、自分も同じように止まれるとは限らない。
雪道に慣れていない都会派ドライバーほど、「走らない判断」も大切になる。不要不急の外出を控える、公共交通機関を利用するという選択も、安全運転の一部だ。雪道は特別な環境であり、いつもの感覚は通用しない。その基本を知っているかどうかが、冬のトラブルを分ける分岐点になる。
雪道走行の基本中の基本を以下に挙げたのでぜひ参考にしてほしい。
1:ハンドルを急に切らない
2:急発進、急加速をしない
3:車間距離をしっかりとる
4:急ブレーキは禁物、ブレーキは慎重に踏む
5:エンジンブレーキを上手に使う
6:雪道の下り坂はスタッドレスタイヤ装着+4WDでも意外に止まらないので早めのブレーキ、ゆっくり走る
7:デフロスターを入れて車内を暖め、窓のくもり取りはエアコンをON





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