冬こそ要注意!! 気温でこんなに違う「タイヤ空気圧」の正解と、やってはいけないNG調整

冬こそ要注意!! 気温でこんなに違う「タイヤ空気圧」の正解と、やってはいけないNG調整

 タイヤの空気圧は一般的に1か月で5〜10%自然に低下します。さらに冬は気温が下がることで内圧が落ちやすく、指定空気圧を大幅に下回るケースも。燃費悪化や走行安定性の低下を招く前に知っておきたいタイヤ空気圧の正解と、やってはいけないNG調整をご紹介しましょう。

文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_ Alexander LW/写真:Adobe Stock、写真AC

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自然低下に加えて、冬は気温が下がることでタイヤ内圧が下がってしまう

 タイヤ空気圧は、何もしなくても自然に少しずつ低下していきます。一般的な乗用車用タイヤでは、1か月で約5~10%(10~20kPa)自然に空気圧が下がっていくといわれています(筆者も、230kPaに調整した空気圧が1か月後には220kPa程度まで落ちていたことがありました)。

 これに加えて、冬は気温が低いことでも空気圧が下がっていきます。気体は冷えると体積が縮む(シャルルの法則といいます)ため、タイヤ内の空気の体積も減少、結果としてタイヤの内圧が下がってしまうのです。一般的には、気温が約10度下がるとタイヤ空気圧は7~10kPa低下するといわれています。

 一般的な乗用車のタイヤの指定空気圧は220~240kPaですので、気温が10度下がっただけで、5%ほども低下してしまう可能性があるということ。自然低下と気温のダブル要因によって、冬はほかの季節より空気圧が下がりやすい季節なのです。

気温が下がるとタイヤ内の空気も収縮。冬は自然低下と組み合わさり、指定値を大きく下回りやすい(PHOTO:Adobe Stock_ Dmitry Presnyakov)
気温が下がるとタイヤ内の空気も収縮。冬は自然低下と組み合わさり、指定値を大きく下回りやすい(PHOTO:Adobe Stock_ Dmitry Presnyakov)

スタッドレスでも「指定空気圧」が基本 測定は必ず冷間時に!!

 空気圧が不足すると、タイヤの変形量が増えることで、転がり抵抗が増加します。転がり抵抗が増えると、進行方向とは逆向きの力が働き、余計なエンジンパワーが必要となり、燃費悪化に繋がるほか、走行安定性の低下やタイヤが発熱することによるバースト(破裂)のリスクを高める要因にもなります。

 そのため、冬は空気圧をよりこまめにチェックすることが必要。最低でも月1回は確認したいところですが、気温変動が大きい冬場は2〜3週間に1回程度の点検がおすすめです。

 空気圧を調整する際にもっとも重要なのは、必ず「車両メーカーが指定した空気圧」に合わせること。指定空気圧は、運転席側ドアのBピラー付近や燃料リッド裏などに貼られたラベルで確認できます。

 「スタッドレスタイヤは空気圧が低めのほうがいい」といわれることもありますが、スタッドレスタイヤでも、性能をもっとも発揮しやすいのは指定空気圧の状態です。特定の状況で多少のメリットがないわけではありませんが、ユーザー判断による空気圧調整はおすすめできません。

 もうひとつ大切なのが、空気圧は「冷間時」に測ること。指定空気圧は冷えた状態での数値であるため、走行後の温まったタイヤで指定値に合わせてしまうと、冷えたときに規定よりも大きく下がってしまいます。筆者も、冷間時に230kPaに調整した空気圧が、高速道路走行後には270kPaにまで上昇(+17%)していたという経験があります。タイヤメーカーのミシュランは「走行距離が3km未満」での点検をすすめています。

空気圧不足は燃費悪化や偏摩耗の原因に。正しい数値を維持することが、タイヤ性能を最大限引き出すカギ(PHOTO:Adobe Stock_ nanohana)
空気圧不足は燃費悪化や偏摩耗の原因に。正しい数値を維持することが、タイヤ性能を最大限引き出すカギ(PHOTO:Adobe Stock_ nanohana)
空気圧は冷間時にチェックするのが鉄則。走行直後は高めに表示されるため、かえって危険な調整に(PHOTO:Adobe Stock_ artchvit)
空気圧は冷間時にチェックするのが鉄則。走行直後は高めに表示されるため、かえって危険な調整に(PHOTO:Adobe Stock_ artchvit)

次ページは : わずか数分のチェックで、安全性とタイヤ寿命は大きく変わる!!

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