軽自動車の常識をはるかに超えるパジェロミニ!
ゆっくりと斜面に進入すると、やがてドアが開けられないほどの角度に達したが、パジェロミニは力強く、確実に路面を捉えながら登り続けた。およそ50mの崖を難なく踏破し、そのままブッシュを抜けてスタート地点へ戻ってきたとき、その走破性が本物であることに心底驚かされた。
開発者へのインタビューでは、さらに衝撃的な事実を知ることになる。搭載しているエンジンは660ccの直列4気筒、しかも1気筒あたり5バルブという、まるでレーシングエンジンのような設計思想だった。加えてインタークーラー付き水冷ターボを備え、出力特性と耐久性の両立を図っていた。
トランスミッションは5速MTと3速ATが用意され、トランスファーは親パジェロと同様の本格的なシステムを採用。走行中でも一定速度以下であれば2WDと4WDの切り替えが可能という、当時としては極めて先進的な仕様だった。デフロックこそ持たないものの、軽自動車の常識を完全に逸脱した本格装備である。
パジェロミニは足回りも驚異的だった。フロントはストラット、リアはリジッドアクスル+トーションビームだが、そのアーム類は大型SUV顔負けの太さを誇っていた。さらにボディ構造はビルトインラダーフレーム式を採用し、剛性と乗り心地の両立を実現している。
【画像ギャラリー】「パジェロミニ復活したらこうなる!? これは素直に欲しい!!」(16枚)画像ギャラリーアノ頃の楽しさをもう一度! リタイア後にもオススメな1台
これは当時の軽自動車としては異例なほどのコストのかけ方だった。トランスファーにはハイ・ローの切り替えがあり、通常はハイ、悪路ではローを選択することで圧倒的な走破性を発揮する。8000rpmまで回るエンジンは、高速道路で時速100km/h巡航時は5000rpmほど。
だが振動もノイズも抑え込まれていて静かだ。それは、もはや軽自動車とは思えない完成度だった。フロントバンパー下には鋼鉄製アンダーガードを備え、前後オーバーハングは極めて小さく、アプローチアングルやデパーチャーアングルは本家パジェロをも凌ぐレベルだった。
それでいて油圧パワーステアリングやエアコンを備え、日常使用の快適性も高かった。室内は一見狭く見えるが、リアシートもリクライニングし、実際に座ると意外なほど快適だ。リアドアを開ければ実用的な荷室が広がり、リアシートを畳めば十分な積載量を確保できる。
結果としてパジェロミニは一大ブームを巻き起こし、日本中で見かけない日はないほどの人気車となった。その後、規格変更に伴い大型ボディに進化していくが、最も魅力的なのは、やはり初代のH56A型マニュアルのターボモデルである。
軽自動車という制約の中で、これほどまでに本気で作り込まれたクルマは、他に類を見ない。そしていまなお、その輝きは色褪せていないと確信している。老後は初代パジェロミニを所有して、レストアしながら楽しむつもりだ。その素材はすでに確保してある。
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