クルマにも人と同じように個性がある。誰からも愛されるキャラクターもあれば、性能や装備のクセが強すぎて売り手を困らせるクルマも存在するのだ。「80点主義」「優等生」と評されることの多いトヨタ車だが、その歴史を紐解くと、担当営業マンを本気で鍛え上げたクセ者たちが何台か存在する。販売に苦労し、納車後のクレーム対応にも奔走した、伝説の3台を紹介しよう。
文:佐々木 亘/画像:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】逆輸入車が営業マンに喝を入れる存在に!? ますます楽しみだぜトヨタ!!(11枚)画像ギャラリーフワフワ揺れて止まらない……キャバリエ(1996〜2000年)
最初に登場するのは、20世紀のトヨタ営業マンにスパルタ教育を施したキャバリエだ。シボレー・キャバリエのOEMモデルながら、トヨタが日本向けに各所を改良し、アフターサービスも充実させた上で、輸入車としては異例の低価格戦略で市場に投入された。
しかし販売台数は目標の半数以下にとどまり、「売るのに苦労するクルマ」の烙印を押されることになる。
だがキャバリエの「教育」はそれだけでは終わらなかった。売った後にも営業マンへの爆弾が待ち構えていたのだ。
問題の核心は走行性能にあった。フワフワした足回りとロールの大きなボディは、日本の市街地を走るには忍耐を要するセッティング。
さらにブレーキの効きが緩やかで、加速の良いエンジンとのミスマッチが「止まらない」という感覚を生み出した。
この特殊なブレーキ特性はパッドの急速な摩耗を招き、ローター交換が頻発する事態に。輸入車であれば「そういうもの」と割り切れるかもしれないが、安定したトヨタ車に乗り慣れたユーザーには故障や欠陥と映り、クレームが相次いだ。
キャバリエは、トヨタの優等生ラインナップでは決して経験できない修羅場を営業マンに与えた。その意味では、販売経験値を強制的に底上げする、究極のスパルタ教官だったと言えるだろう。
欧州基準のブレーキが仇に……アベンシス(2011年〜)
続いては2011年に販売を再開した3代目アベンシス。欧州基準で作り上げられた走行性能は本物で、高いボディ剛性から生まれるステアリングフィール、ドアの開閉音に至るまで、国産トヨタ車の水準をはるかに上回る完成度を誇っていた。クルマ自体は紛れもない「いいクルマ」だった。
しかし3代目では販売チャネルが拡大し、ネッツ店に加えてトヨタ店とトヨペット店でも取り扱われるようになる。ここに落とし穴があった。欧州トヨタの設計思想を十分に理解しないまま販売した営業マンが、納車後のクレーム対応に悩まされることになったのだ。
日常的なクレームとして多かったのが「ブレーキ鳴き」と「ブレーキダストの多さ」。欧州仕様の制動システムは制動力を重視した設計のため、鳴きやダストが出やすい特性を持っている。
さらに法定点検のたびにブレーキパッドが大きく摩耗していることが発覚し、「欠陥品ではないか」というきつい言葉をユーザーから浴びせられる場面も少なくなかった。
これはアベンシスの欠陥ではなく、欧州車と国産車のブレーキに対する設計思想の違いから生じるものだ。
事前にその違いを正しく説明していた営業マンにはクレームが入らず、知識不足の営業マンだけが苦労する構図となった。
アベンシスは「商品知識がなければ売れない」という厳然たる事実を、担当者に叩き込み続けた教育係だったのだ。
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