月々の返済額を抑えられると人気のボーナス払い併用ローン。だが、総支払額では必ず損をする仕組みになっており、ボーナスが出なければ即座に資金繰りが行き詰まるリスクもある。その構造と対策を整理する。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(トビラ写真=polkadot@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】ボーナス払い併用ローンの意外な落とし穴!? 返済の重要ポイントを画像でおさらい(3枚)画像ギャラリー月々の返済を抑えられる代わりに、元金の減りが遅くなる
自動車ローンでボーナス払いを活用すると、月々の返済額を大きく圧縮できる。たとえば借入元金300万円、ボーナス返済元金50%、年利2.9%、返済期間5年という条件では、ボーナス月に15万円ずつ支払う設定にすることで、月々の返済額を約2万円に抑えることが可能だ。同じ条件でボーナス払いなしの均等払いにすると、月々の返済額は約5万4000円になる。家計管理の面では、確かに大きな差があるだろう。
しかし、注目すべきは毎月の返済額ではなく「総支払額」だ。借入期間と金利が同じであれば、ボーナス払い併用のほうが、総支払額は必ず多くなる。理由は単純で、ボーナス払いに回している元金部分は、その間もずっと利息を生み続けるからだ。
月々の均等払いに比べて元金の減るスピードが遅くなる分、余計な利息が積み上がる。借入期間5年の場合、その差は1万円から5万円程度というのが一般的だが、ボーナス分と月々分の元金を別々に管理する金融機関では、差がさらに広がるケースも。
ローン契約を結ぶ前には、ボーナス払い併用と均等払いの両パターンでシミュレーションを取り寄せ、総支払額の欄を必ず比較してほしい。その差額の大きさに、少なからず驚くはずだ。
ボーナスが出なければ、即座に資金繰りが破綻する
ボーナス払い併用が抱えるもう一つの問題は、ボーナスが支給されなかった場合のリスクだ。円安・物価高が続く現在、どの業界においても企業業績が急変するリスクは以前より高まっている。突然の賞与カットや支給額の大幅減少は、もはや他人事ではない。
そのような事態が発生したとき、最も打撃を受けるのがボーナス月の返済だ。月々の返済額を大幅に抑えている分、ボーナス月の返済額は跳ね上がっており、預貯金を取り崩しても対応できずに支払い不能に陥る例は少なくない。特にリスクが高いのは、ボーナス月の返済額が月々返済額の5倍以上になっているケースだ。
判断の目安として有効なのが、ボーナス払い分を月割りにした場合でも無理なく返済できるかどうかを確認すること。均した金額が家計的に厳しいと感じるなら、そのローン計画自体に無理があると考えるべきだろう。残価設定ローンと同様、ボーナス払い併用も「月々の負担が小さく見える」という視覚的なマジックに引っ張られやすい。その仕組みを正しく理解したうえで、返済計画を組む必要がある。
【画像ギャラリー】ボーナス払い併用ローンの意外な落とし穴!? 返済の重要ポイントを画像でおさらい(3枚)画像ギャラリーローンは「総支払額」と「最悪のシナリオ」で判断せよ
ローンの良し悪しを月々の返済額だけで判断するのは危険だ。重要なのは、借り終わるまでにいくら支払うのかという総支払額と万が一、ボーナスが出なかったときでも返済を継続できるかという二点である。
ボーナス払いを組み込むこと自体を否定するわけではない。だが、その選択が総支払額の増加とボーナス未支給リスクを抱えることを、十分に理解したうえで判断してほしい。ローンの契約内容は一度結んだら簡単には変えられない。
このボーナスの時期を、浮かれた気分ではなく冷静な目で返済計画を見直す機会にしてほしいものだ。
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