ヤリス登場で競合激化? デミオ改めマツダ2 独自の価値と実力は健在か

ヤリス登場で競合激化? デミオ改めマツダ2 独自の価値と実力は健在か

 キューブやグレイスが廃止される影響もあり、5ナンバー車の選択肢がますます減ってきた。輸入車のフォルクスワーゲンポロ、BMWミニも3ナンバー車に拡大されている。

 「コンパクトで運転しやすいクルマに乗りたいが、軽自動車は好きではない」ユーザーにとって、クルマ選びが難しい時代になった。

 その意味で注目されるのが、全長を4m前後に抑えた5ドアハッチバックのコンパクトカーだ。前述の通りキューブは廃止されたが、フィット、ヤリス、マツダ2、スイフトという具合に、5ナンバー車が今でも豊富にそろう。

 しかも最近のコンパクトカーは、内外装や運転感覚が上質になり、安全装備も充実して満足度は高い。

 これらのコンパクトカーの中で、微妙な立場にいるのがマツダ2(旧デミオ)だ。全高は1550mm以下に収まり、立体駐車場を利用しやすい。重心も低めだから、走行安定性も優れている。後席と荷室は狭めだが、インパネ周辺は上質で、前席の座り心地は快適だ。

 つまりマツダ2は、マツダらしいドライバー優先のコンパクトカーだが、売れ行きは伸び悩む。2019年度(2019年4月から2020年3月)の登録台数は、1か月平均で1776台だ。2020年の4月と5月は1200~1500台になる。

 コロナ禍の影響を受けて売れ行きが下がるのは当然だが、ヤリスは4/5月ともに1か月当たり1万台を超えた。フィットも7000~9000台に達する。このライバル2車に比べると、マツダ2は販売状況が振るわない。

文:渡辺陽一郎、写真:マツダ、スズキ、トヨタ、ベストカー編集部

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マツダ2が伸び悩む原因は“クルマ”にあらず!?

マツダ2(2019年にデミオから改名)
マツダ2(2019年にデミオから改名)

 マツダ2の販売が低調な背景には、複数の理由がある。まず現行型がデミオの車名で発売されたのは2014年と古いことだ。

 既に6年近くを経過するから、フルモデルチェンジの後に乗り替えを希望するユーザーもいて、売れ行きが下がった。

 ちなみに発売直後の2015年には、デミオは1か月平均で6000台以上を登録しており、ヤリスの前身となるヴィッツと同等だった。従ってマツダ2が最初から低調だったわけではなく、発売から時間を経過して売れ行きを下げた。これが伸び悩む一番の原因だ。

 2つ目の理由は、マツダのディーラー網が縮小されたこと。2014年頃には国内に1000店舗近くを展開していたが、今は770店舗少々に減った。

 しかもマツダは、マツダ2以降に、CX-3、CX-5、CX-8、CX-30、マツダ3、ロードスターという具合に新規投入やフルモデルチェンジを行った。新型車の積極的な発売はもちろん好ましいが、そのためにマツダ2の販売力は弱まった。

2019年10月にCX-30が販売開始
2019年10月にCX-30が販売開始

 3つ目はライバル車の動向だ。2016年に現行スイフトが登場して、同年にノートにe-POWERも追加された。

 マツダ2にもクリーンディーゼルターボがあり、ハイブリッドよりも割安な価格で燃費性能と動力性能を向上させるが、技術的な流行としてはモーター駆動を併用するハイブリッドが波に乗っている。

次ページは : ライバル車と比較してわかる魅力

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