高齢者の身体能力や判断能力の衰えによる事故が増加し、警察庁では2022年に道路交通法を改正した。免許更新時の高齢者運転技能検査が義務化されたのだが、この検査内容を見直す動きが出てきている。見直しの理由とその内容とは!?
※本稿は2026年8月のものです
文:ベストカー編集部/写真:警察庁、AdobeStock(トップ画像=Caito@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2026年9月10日号
高齢者運転技能検査改正の理由と今後の動向
警察庁は、高齢者運転技術検査の改正に向けて動きを見せている。
警察庁は2026年6月25日付で『運転技能検査合格者の追跡調査の結果等について』と題して広報発表。運転技能検査の導入から丸4年が経過したことを受け、運転技能検査に合格した高齢者の免許更新後の交通事故等について追跡調査の結果を発表した。そのデータを一部紹介する。
まず2025年中の実施状況。16万5756人の対象者の94%に当たる15万6513人が受験したもようで、事前に断念する人はごく少数であることがわかる。
ちなみに受検者数の15万6513人という数字は、普通免許全保有者数(約8174万人)の約0.2%、75歳以上の普通免許保有者数(約835万人)の約2%に相当する。
全保有者の500人にひとりということ、受検者が75歳以上の保有者の50人にひとりという少なさに驚かされる。
話がそれたが、合格者14万5935人で93%という高い合格率となっているのが衝撃的(表)。裏を返せば、不合格になるほうが難しいといったレベル。後述するが、この合格率の高さが問題視されている。
合格者の事故率が最大4.5倍!! 高齢者運転技能検査に見えた「意外な落とし穴」
最も重要なのが、検査合格後に更新した人の事故状況だが、かなり衝撃的な数字が発表された。
事故追跡調査は、2023年5月15日から8月31日までの間に運転技能検査に合格した5270人と、75歳以上で高齢者講習の実車指導の受講者8233人が対象で、高齢者運転技能検査の合格ドライバーは、高齢者講習のみ受講したドライバーに比べて軒並み多く事故を起こしているというデータが出た。
具体的には、高齢者運転技能検査合格者のうち、75~79歳が約4.5倍、80~84歳が約2.3倍、85歳以上が約2.6倍、それぞれ高齢者講習受講者より事故を起こしていると発表された。
高齢者による深刻な交通事故防止という目的で義務化されながら、その目的が果たされていないことの何よりの証拠だ。今回の追跡調査により、現行の高齢者運転技能検査という制度の事故抑止効果が不充分で、再考の必要がある、と警察庁は判断したのだ。
現状の最大の問題点は合格率の高さにある。表現は悪いが、現在は「合格が安売りされている状態」と言っても過言ではない。その対策について、今はまだ推測の域を出ないが、以下の4点は確実視されている。
* * *
●検査項目を増やす
現在の5項目ですべてを認識しようとすることにやや無理があるのは否めない。
●検査の難易度アップ
検査が難しくなれば、ラッキー合格者を減らすことができる。
●合否基準や採点基準を厳しくする
現行では第一種免許は70点が合格ラインだが、それよりも引き上げる。また減点の基準を厳しくすることで正確に能力が試せる。
●受検回数の制限
現在の期間内無制限に対し具体的な回数制限を設けることでこれまたラッキー合格者を減らすことができる。あと現行にはない再検査の前に講習等を義務付けることで能力を精査できる。
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現在、警察庁に設置した有識者討論会が開催されており、具体的な改善策を導き出し、2026年8月中には報告書がまとめられ、今後の方向性が示されるはずだ。
警察庁が具体的に動き出したということは、高齢者運転技能検査は確実に厳しい方向に改正されることは間違いない。
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