世界の自動車メーカーを見渡しても、圧倒的な安定感を誇るトヨタ。国沢親方はそんな王者に、100点満点を大きく超える「180点」という異例の評価を与えた。しかし、盤石に見えるトヨタにも将来を左右しかねない課題があるという。豊田章男氏の存在感とともに、トヨタの強さと3つの弱点に迫る。
※本稿は2026年8月のものです
文:国沢光宏/写真:トヨタ、レクサス
初出:『ベストカー』2026年9月26日号
国沢親方が王者トヨタに点数をつける!!
現時点で世界の自動車メーカーを俯瞰して見ると、一番安定しているのがトヨタである。
BYDなど急速にシェアを伸ばすメーカーも出てきているものの、遠からず「成長痛」を経験することだろう。本拠地が中国という不安要素もある。
トヨタの場合、政府のバックアップなし。日本でもアメリカでもアジアでも叩かれて潰されて伸びてきたので、そう簡単に崩れない。
点数を付けるなら100点である。いや、150点といってよいかもしれない。
じゃトヨタに弱点はないのか? 当然ながら世の中に「完璧」などありません。以下、トヨタの課題を挙げてみたい。
ひとつ目が「中国との先端技術競争」である。なかでも先行されているのが電池技術。我が国はバリバリの石油利権国として知られる。産油国も上得意として扱ってくれるため、ホルムズ海峡が閉まっても石油供給の問題は限定的だった。
ほかの国はガソリン価格高騰でエンジン車離れが顕著になったほど。そんなことから国内で電気自動車の需要が増えず、結果的に電池のニーズも少ないまんま。結果、電池の生産量や生産コスト、技術開発で遅れをとってしまった。
同じく水素技術も国が強いブレーキをかけている。次世代のパワーユニットの競争力は中国に覇権を握られつつある。このあたり、トヨタというより成長産業を潰し続けてきた我が国の問題です。
苦労してクルマを売る経験をしていない
ふたつ目に後継者を挙げておく。今の強いトヨタを作ったのは誰に聞いても豊田章男さんと答えることだろう。ここまで徹底した顧客第一主義を貫く経営者って見たことない。
トヨタウォッチャーからすれば、章男さんがいなければ今のトヨタも都合の悪いことは隠そうとする普通の企業だと思う。企業に自分の名前がついている「強さ」や「責任感」を感じます。修行中の豊田大輔さんが顧客第一主義の免許皆伝となれば40年は期待できる。
3つ目が国内販売力の低下である。新型コロナ以降、トヨタ車人気も相まって、6年間も「座ってるだけでクルマが売れる」状況が続いている。新人は苦労してクルマを売る術を経験していない。
実際、私の読者からトヨタディーラーの厳しい話を聞く機会が急増している。しばらくはライバルメーカーのオウンゴールで楽なビジネスができるだろうけれど、長期的に見たらレベルの低下をもたらす。ボディブローのように効いてくる。
以上、3つの課題を克服すれば、10年後も20年後も世界一安定した業績をキープできる企業であり続けることだろう。
繰り返すけれど、今のトヨタの安心感は章男さんあってのもの。管理職の皆さんの決断が早いのも、最後は章男さんが責任を取ってくれる、という安心感からきている。
ということで現在のトヨタに点数を付けるとすれば、稀代の経営者分の100点満点を上乗せして180点としておきたい。






















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