2026年9月、クラウンクロスオーバーとクラウンスポーツは商品改良でハイブリッドシステムを強化した。ところが、最後発のクラウンエステートZは、それでも上回る高出力モーターを登場時から搭載している。実はこのクルマ、兄弟車の進化を先取りした“改良済み仕様”だったのだ!
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】トランク広っ!! クラウンエステートの魅力は積載量にアリ(5枚)画像ギャラリー改良型クロスオーバーやスポーツより46psも強力!
2026年9月、クラウンファミリーのクロスオーバー、スポーツ、セダンがそろって商品改良を受けた。エステートだけは改良が年末へ持ち越されたため、一見すると兄弟車に取り残されたようにも思える。
しかし、2.5Lハイブリッドの性能を比べてみると、まったく違う姿が見えてくる。
改良型クラウンクロスオーバーの2.5Lハイブリッドは、フロントモーターの最高出力を従来の88kW(120ps)から100kW(136ps)へ強化した。エンジン出力も137kW(186ps)となり、動力性能と燃費の両方を引き上げている。
クラウンスポーツのハイブリッドも、改良後は同じく最高出力100kW(136ps)のフロントモーターを搭載。改良前より力強い加速を実現した。
対するクラウンエステートZのフロントモーターは、改良前のまま134kW(182ps)を発揮する。つまり、商品改良を受けたクロスオーバーやスポーツよりも34kW、馬力に換算すると46psも高出力なのだ。
リアモーターは3モデルとも40kW(54ps)だが、エステートZはエンジンも140kW(190ps)を発揮する。クロスオーバーやスポーツの137kW(186ps)よりわずかに強力で、ハイブリッドシステム全体に余裕を持たせている。
エステートが高出力モーターを採用した理由は、そのキャラクターにある。通常時570L、後席格納時1470Lという広大な荷室を持ち、人だけでなく多くの荷物を積んで長距離を走ることを想定したモデルだ。
車両重量もエステートZは1890kgあり、クラウンクロスオーバーZより80kg重い。さらに荷物を満載すれば、発進や高速道路での合流、登り坂でパワーが必要になる。そのためトヨタは、荷物を積んだ状態でもストレスなく加速できるよう、発売時からフロントモーターを大幅に強化していた。
2025年3月の登場時、エステートZのフロントモーター出力は、当時のクロスオーバーやスポーツに対して約5割高かった。兄弟車が2026年の商品改良で性能を引き上げても、まだエステートには届いていない。まさに登場時から一歩先を行っていたのである。
走りだけでなく快適装備も先取りしていた
クラウンエステートが先取りしていたのは、モーター性能だけではない。
2026年9月の商品改良では、クロスオーバーとスポーツに10スピーカーと8チャンネルオーディオアンプを組み合わせたトヨタプレミアムサウンドシステムが採用された。しかし、エステートにはこのオーディオシステムが登場時から標準装備されている。
後輪操舵システムのDRSも全車に採用。低速ではリアタイヤを前輪と反対方向へ動かして小回りを助け、高速では同じ方向へ操舵して車体の安定性を高める。全長4930mm、全幅1880mmという大柄なボディながら、最小回転半径は5.5mに抑えられた。
電子制御サスペンションのNAVI・AI-AVS、トヨタ チームメイトのアドバンスト パーク、渋滞時支援のアドバンスト ドライブ、床下透過表示機能付きパノラミックビューモニターも標準となる。
さらに本革シート、前席シートヒーター&ベンチレーション、カラーヘッドアップディスプレイ、12.3インチディスプレイオーディオなども備える。635万円という価格は高いが、装備内容を見るとエステートZは決して簡素なベースグレードではない。
もちろん、すべての装備が兄弟車より進んでいるわけではない。たとえば後席の揺れを抑えるリヤコンフォートモードや後席シートヒーターは、エステートではPHEVのRSに設定される。商品改良で、こうした装備がZへ拡大される可能性はある。
それでもパワートレーン、足まわり、オーディオ、安全・運転支援機能というクルマの基本部分は、現行型でも十分に充実している。
その理由は発売時期にある。クロスオーバーは2022年、スポーツとセダンは2023年に登場したが、エステートの発売は2025年3月。クラウンファミリーで最後に開発を仕上げられたからこそ、先行モデルが後の商品改良で取り入れる進化を、最初から盛り込むことができたのだ。
クラウンエステートも2026年末に商品改良を予定している。しかし、高出力モーターをさらに強化する必要性は低く、改良の中心は装備の設定拡大やグレード構成、内外装の質感向上になると考えられる。
年末に改良型が控えているとはいえ、現行エステートZの中身が急に古くなったわけではない。むしろ他のクラウンが商品改良で追いかけた技術を、ひと足早く搭載していたモデルなのである。“改良済み仕様”という見方をすれば、現行型の完成度の高さにも改めて納得できるはずだ。
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