2026年8月、千葉県を中心に発生した集中豪雨。痛ましい人的被害はもちろん、道路上では車両の立ち往生、水没などの被害も多数発生した。自分の身の安全と、愛車の安全を守るため、路面冠水時の走行について高根英幸氏にうかがった。
※本稿は2026年9月のものです
文:高根英幸/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年10月10日号
進むか戻るか……その判断が明暗を分ける
まずは10cm程度までの浅い冠水だ。これは一見水たまりのように思えるが油断は禁物。高い速度であればハイドロプレーニング現象を起こし、クルマのコントロールを失ってしまう。
道路上の穴などがわかりにくいので、気付かずにタイヤ&ホイールや足回りを傷める可能性もあるので注意が必要だ。そのため速度を落として走行しよう。
また冠水していれば、わずかな水深でも走行による勢いでタイヤが水をはね飛ばす。
この水はねにより他人が損害を被った場合、泥はね運転違反となる。検挙されれば反則金6000円(普通車)となるし、相手から治療費やクリーニング代などを請求される可能性がある。
歩行者だけでなく、自転車やオートバイ、建物にも被害が及ばないように走ろう。
そして20cm程度の水深になってくると、乗用車では慎重を要する領域となる。水質次第では路面が見えないため、深さを水面からは判断しにくくなる。勢いよく冠水路に飛び込むと、この程度の水深でもエンジンルームには大量の水と水圧がかかる。
それによりエアコンのコンデンサーやラジエターのフィンが潰れてしまったり、エアクリーナーから水を吸い込み、エンジンが止まってしまうことも。他車の引き波によって水位が上がったり、水圧が変わるので、それにより車両がダメージを負うこともあり得る。
さらにドア下端・床面付近までの水深の場合。一般的には「ここまで」が走行可能な目安だ。ただし水の流れや状況次第では危険となる。ギアを落とし、エンジン回転数を高く保って低速で走行する。
バンパー半分までいったらシャレにならない!?
そしてフロントバンパーレベル以上の水深は原則として「進入しない」。ゆっくりでも、水圧の影響や吸気口の位置によってリスクが急上昇となる。
もしタイヤ半分以上の水深となると、浮力でタイヤの接地が失われる可能性が出てくる。車体の密閉性によって差があるが、クルマが浮いてしまうと、進めなくなる。そうなるとクルマの中に閉じ込められ危険だ。
クルマが浮き上がらなくてもドアの3分の1程度まで水深があれば、水圧でドアは開かなくなってしまう。
同じ道路を走っていても水深は一定ではないから、急に深くなるようなこともある。水深は前走車や縁石、ガードレールやポールなどの隠れ具合から判断することになるが、水深が判断しにくい場合は一度停車して、しっかりと確認してから進路を決めることだ。
・【どうする】やむを得ずクルマを路上に放置する場合
渋滞や冠水でこれ以上は進めない場合、あるいはエンジンが止まってしまった場合は、クルマを置いて避難する。ともあれ早めの判断が重要だ。
その場合レッカーなどでの移動のためにドアロックはせず、キーは車内に置いたままにすること。連絡先などのメモを残すことも大事だ。なるべく端に寄せて通路を確保しよう。
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●高根英幸/メンテナンス、メカニズム、あらゆるジャンルのクルマの試乗といった豊富な専門知識と経験で、クルマの購入ガイド、ユーザー車検などについてマルチに執筆。最近注目を集めている「クルマと災害」についての造詣も深い
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