実用的なコンパクトカーという印象が強かったスズキ SX4。ところが、その見た目からは想像しにくい熱い素性が隠されていた!? なぜ一見おとなしいハッチバックが世界最高峰のラリーへ挑むことになったのか? そして、その挑戦は市販車にどんな影響を与えていたのか!? 今ではあまり語られないSX4の意外な一面を振り返ってみよう!
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部、スズキ
【画像ギャラリー】さすがはラリー参戦前提マシン! SX4の雪道を爆走ショットを大公開!(18枚)画像ギャラリーホットハッチ感は皆無だったベース車
スズキのコンパクトカーといえば、言わずと知れたスイフトが有名であるが、過去にスイフトに次ぐ世界戦略車として、イタリアのフィアットとの共同開発で生まれた「SX4」というモデルが存在していた。
スイフトからクラスアップを考えるユーザー向けに、一回り大きな3ナンバーサイズのボディを持ったモデルとなっており、フィアットからは「セディチ」の名前で販売(日本には正規導入されていないが)されていたのだが、なんとWRC(世界ラリー選手権)にも参戦していたのである。
このSX4、スイフトと同じヨーロピアンテイストのデザインをまとった5ドアハッチバック車であり(のちに4ドアセダンも追加)、1.5Lモデルのほか2Lモデルも設定。
さらに樹脂製オーバーフェンダーやルーフレールを備えたクロスオーバーモデルも2006年時点でいち早くラインナップするなど、時代を先取りしたモデルともなっていた。
その一方で日本仕様は全車で4速ATのみのラインナップとなっており、ホットな走りを予感させるスポーティグレードなども用意されていなかったので、一般ユーザーのイメージは実用的な5ドアハッチバックモデルというイメージが強いかもしれない。
最初からラリー前提だった!? リーマンショックによる悲劇の機体
しかし2006年2月末にスイスで開催されたジュネーブモーターショーで、欧州市場向けのSX4を発表するとともに、WRCへの参戦を発表。そこで「SX4 WRCコンセプト」なるWRC参戦の試験車両を同時にお披露目しているのだ。
市販モデルの発表と同時にラリーカーをお披露目するということは市販モデルの開発段階からラリーに参戦する前提が進んでいたことの証であり、実際市販モデルのボディ剛性は当時のスイフトと比較してねじり剛性で10%以上、曲げ剛性で20%以上、リアサスペンションの取り付け剛性に至っては190%以上も高められ、ホイールハブもP.C.D.114.3の5穴仕様になっている。
このように、WRCに参戦するためにベース車の基礎能力から高めていたSX4のWRCコンセプトには、ベース車に搭載される2LのJ20型エンジンにターボチャージャーを組み合わせて235kW/637N・mの出力を発生。
4WDシステムは前後に機械式デファレンシャルギヤ、センターに電子制御デファレンシャルギヤを組み合わせたもので、5速のシーケンシャルMTと組み合わされていた。
こうして完成したSX4 WRCは2007年のスポット参戦を経て2008年にフル参戦を果たし、第14戦のラリージャパンでは5位入賞を果たすなど翌年以降の飛躍が期待されたが、当時のリーマンショックなどの影響もあってWRCからの撤退が発表されることとなってしまったのだった。
そのためベースとなったSX4も、当初は2Lモデルの5速MT仕様を日本で市販する予定があったようだがそれも白紙となり、ホットモデルとして認識されることもなく、2013年に純然たるクロスオーバーSUVとなった「SX4 S-CROSS」にバトンタッチをして姿を消すこととなっている。
【画像ギャラリー】さすがはラリー参戦前提マシン! SX4の雪道を爆走ショットを大公開!(18枚)画像ギャラリー





















コメント
コメントの使い方