小さいクルマの魅力を追求するダイハツが、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を加速させる。DGR(ダイハツ・ガズー・レーシング)の体制を強化し、活動を本格化していく。その一端をご覧いただこう。
※本稿は2026年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:森山良雄、西尾タクト、西川昇吾
初出:『ベストカー』2026年10月26日号
新生DGRの狙いは「人づくり」
2026年8月、コペンが生産終了となった。ファンが気になるのは、やはり「次のダイハツのスポーツカーはどうなるのか?」ということだ。そんななか、9月からDGR(ダイハツ・ガズー・レーシング)が体制を強化。「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を本格的に加速させる。
その中枢が、これまでコペンを生産していたコペンファクトリー2階のDGR池田ガレージだ。約20人のメンバーが、ラリー参戦車両の設計、解析、部品製作、整備までを一貫して担当する。
2022年の発足以来、全日本ラリーやダイハツチャレンジカップで実戦経験を積み、100台限定のミラ イースDSR(tuned by D-SPORTRacing[SPK株式会社より発売])など市販車への還元も始まった。
だがDGRが重視するのは、速いクルマを作ることだけではない。最大のテーマは「人づくり」だ。
新体制では、2026年秋の全日本ラリーから2台体制で参戦を計画している。2台を競わせることでセッティングや部品の違いを比較し、開発スピードを高める。
さらに全国の販売会社から、サービススタッフが最低1年間DGRに出向中。限られた時間で故障を診断し、直し、再び走らせる実戦のなかで、整備技術だけでなく判断力やチームワークも鍛えていく。
草レースも開発の主戦場だ
その考え方は草レースにも貫かれている。2026年8月14日の富士スピードウェイ「K4-GP 10時間耐久レース」には、コペン愛(LOVE)号とミラ イースDSRが参戦。プロドライバーだけでなくエンジニアやメカニックもハンドルを握り、井上雅宏社長もコペンを22周ドライブした。
全日本ラリーで磨かれたスポーツECUや車高調を装着したコペンについて、普通のクルマ好き代表として乗った井上社長は乗りやすさを高く評価。速さだけでなく、幅広い人が安心して楽しめることも「いいスポーツカー」の条件だ。
またミラ イースDSRにはDGRが開発中の車高調や3Dプリンター製冷却ダクトが投入されていた。
コペンは163周、ミラ イースDSRは161周を走り、ともに完走した。約740km、10時間という厳しい実戦だからこそ、通常のテストでは見つけにくい課題も浮かび上がる。草レースすら開発の現場に変えてしまうところが、いかにもDGRらしい。
そしてDGRの人づくりは、未来の整備士にも広がる。3月に富士スピードウェイで開催された専門学校生向けの「Future Mechanic Experience(フューチャー・メカニック・エクスペリエンス)」には静岡県内3校から60名が参加。
EVの試乗、安全技術体験、ラリー車やコペンGR SPORTの同乗走行などを通じ、教科書だけでは得られない「クルマって面白いa」を体感した。現役の社員ドライバーやDGRメカニックとの交流も、整備士という仕事の奥深さを伝える機会となっていた。
今後は地元の販売会社と協力して、ダイハツ車オーナー向けサーキット走行イベント「ダイハツチャレンジカップ(ダイチャレ)」の前後で、同様のイベントを展開していくという。
ラリーでクルマと人を鍛え、草レースで幅広い声を集め、若者にはクルマの楽しさを伝える。そして、その経験を市販車へ返していく。これこそDGRが目指す循環だ。その先にきっと、ファン待望の次期コペンが姿を現すはずだ。今後の展開から目が離せない。










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