国内生産じゃ採算が合わない!? 海外のおさがりモデルが日本に導入されるワケ


■海外製だから「よくない」ではない 国産メーカーに求められる次代への考え方

 かつて、メルセデス・ベンツ「Cクラス」が南アフリカの工場で製造され、国内に輸入されたことがある。その事情について、ダイムラー社は、南アフリカの工場がその時点でもっとも新しく、生産設備も新しいため、ドイツのシュツットガルトの旧い工場で生産するより品質は高いと説明した。アジアやアフリカで製造されているから品質がよくないという考えは、偏見といえる。

 今日、多くの生産工場が生産設備を新しくしながら、その工場の生産技術については母国のマザー工場と呼ばれるところで築き上げられ、それを各地の工場へ展開することが行われており、世界共通の品質が保たれようとしているといっていいだろう。また日本の自動車メーカーは、海外生産する際に現地の従業員を日本の工場に研修する制度も行っている。

 現地生産を増やすことは地域の雇用を増やし、現地の人々が幸せに暮らせる仕事を提供することにつながり、単にクルマの性能だけにとどまらず、その自動車メーカーのブランド力を高めることにもなる。

 そのうえで、日本のものづくりの考え方や技術が世界の規範となるような新車が誕生すれば、それは素直に嬉しいことでもある。

 ホンダの「新型フィット」は、日本に最適なコンパクトカーであることを念頭に開発され、それを世界に通じるクルマに仕立てていく開発方針が採られた。日本の風土や、日本人の感性が、世界の人々に感動を与えることができれば誇りにもなる。

鈴鹿製作所(三重県)で生産されているホンダ「フィット」。日本に最適なコンパクトカーであることを念頭に開発された。ライバルのトヨタ「ヤリス」も国内では岩手工場で生産されている

 また電気自動車(EV)では、クルマとしての性能だけでなく、EVであるからこそ考えなければならないEV後のリチウムイオンバッテリーの再利用や、大規模自然災害に際して電力確保ができるEVからの給電の考えも、日本ならではの発想だ。この点についてはまだ海外の自動車メーカーは実用化の水準に達していない。

 何台売れるかという販売台数や収益だけでなく、クルマの本質的なことを見抜いて次世代を築く取り組みに、日本は先駆的立ち位置に居るといえる。世界に役立つ日本の資質があることに、国内自動車メーカーは自信と誇りをもって取り組むべきだろう。

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