■MIRAIそしてクラリティに並ぶ? 注目のその走りやいかに!?
ということでシステム起動といきましょう。スタートはトヨタ『MIRAI』などと同じプッシュボタンを押す。注目すべきが起動時間。複雑なシステムを立ち上げるため、技術力ないと時間かかります。
どうかと思っていたら、MIRAIやクラリティに勝るとも劣らないタイムラグしかない。「ほほぅ」。Dレンジはプッシュボタン式。慣れないと目で探さないと迷うが、毎日乗っていれば気にならなくなる。アクセル踏むと滑らかに走り出す。ここで国沢光宏驚く! 燃料電池を稼働させるためのポンプ音などまったく聞こえない。耳を澄ませて聞いてもわからないレベル。
MIRAIならアクセル開度少ない時でも「シュッシュッ」という音を出し、全開だと「ウォーン!」。クラリティも「キーン」というターボポンプの音を出す。ネクソはまったくの無音で走る。これ凄いです! そもそも燃料電池車を市販できる技術力はハンパない。今でもトヨタとホンダ、ヒュンダイ、ベンツだけ。相当頑張って作ったと思う。素直にリスペクトしたい。
パワー感はどうか? 車重1870kgに対しモーター出力163ps。MIRAIが1850kgの155psなので、ほぼ互角。一般道から高速道路まで乗ってみたけれど、優劣は感じなかった。アクセルレスポンスについちゃ「いい」。なぜかといえば燃料電池と組み合わせている走行用電池の出力が2倍くらい高いためだ。MIRAIのニッケル水素に対し、ネクソは55psも出すリチウムイオンを使う。
MIRAIを圧倒しているのが実用航続距離。満充填すると500km以上を表示する。MIRAIだと350kmくらい。クラリティでMIRAIとネクソの中間くらい。実用性を考えたら500kmくらいほしいところ。今回ふつうに走って100kmごとに水素消費量1kgといったイメージ。水素消費量もMIRAIやクラリティと同等レベルです。スタックの性能としちゃイーブンか?
ハンドリングも悪くない。SUVということで本来なら不利ながら、低重心かつ前後の重量配分がいいためだろう。ふつうのSUVと比べたらロール方向のイナーシャ(慣性)が少なく、回頭性だって良好。MIRAIにこそ届かないけれどガソリンエンジン搭載するSUVと比べたら勝ち。いずれにしろ乗っていて自然だし、燃料電池車だということを完全に忘れてしまう。
ということで100点をつけてもいいくらいだけど、惜しいのが乗り心地やワイパーなどの作動音。MIRAIの場合、開発チームのコダワリで徹底的に質感を追求した。結果、乗り心地はセンチュリーの次にいいし(今でも)、ワイパーやパワーウィンドウなどの作動音は皆無! ビビリながら作動するネクソのワイパーやドタバタする乗り心地に接すると「惜しいね!」。
また、今回比較車として持って行ったMIRAIは間もなくフルモデルチェンジする。プラットフォームがレクサス『LS』や『LC』と同じになるため質感や乗り心地は圧倒的に向上するだろう。弱点だった航続距離もネクソを凌ぎ、東京からノーチャージで大阪まで行けるらしい。新型MIRAIとネクソを比較したら、すべての点で優位に立つと思う。ネクソに加点材料を挙げるなら人気のSUVということくらいか?
さて、ネクソをどう評価したらいいだろう。クルマ作りは「よく頑張った!」と大いに褒められる。日本仕様を作るにあたってできることはすべてやってきた。驚くことに日本での型式指定も取得ずみ。いつ発売してもおかしくない。だったら売れるか? 0.1秒も考えず「売れない」と思う。日本における韓国のイメージ、悪すぎます。今のままだと少数売れてオシマイかと。
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