あれはなんだったのか!? トヨタ86シリーズの超絶異端児! 「86“style Cb”」を振り返る


 2012年2月、トヨタスポーツカー復活の狼煙として、華々しくデビューを飾った「86」。86は約9年間、熟成に熟成を重ね、多くのスポーツカーファンを虜にしてきた。

 筆者もそんなファンの一人だが、86のヒストリーをたどっていくと、2015年に発表された「86“style Cb”」の異端児ぶりに目がとまる。みなさんは86“style Cb”を覚えているだろうか? ここでは同車が遺した功績について深掘りしていこう。

文/奥野大志、写真/TOYOTA、ベストカー編集部

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■2015年に発売された「クールビューティー」な異端児的存在

トヨタ 86“style Cb”(ニュアンスベージュ×デミタスブラウン)。スポーツカーの「走り」以外のもうひとつの魅力「優雅さ」に焦点を当てた一台だ

 86“style Cb”が発表されたのは2015年の2月。標準車の一部改良と同時に発表され、4月23日に発売された。

 この時の一部改良は通算2回目(1回目は2014年)で、時はまさに86ブームの真っ最中。最初の一部改良ではサスペンションのボルト形状を変えただけで大騒ぎになり、2回目の一部改良では強化したボディ剛性に注目が集まるなど、86オーナーやオーナー予備軍の興味は兎にも角にも走りだった。

 そんな盛り上がりの中でデビューした86“style Cb”だが、「Cool beauty」という車名の通り、標準車と真逆のエレガントなデザイン。

 GTをベースに楕円型のヘッドライトや丸みを帯びた専用フロントノーズ(全長比+70mm)でカスタマイズし、さらに流行りの2トーンカラーもラッピングorフル塗装のいずれかの手法で選べるようにした。

 メーカー希望小売価格は387万909円(MT車の税抜き)。走り、走りで86カルチャーがブレイクする中、86の王道から外れる架装車を、こんなに高い価格で出す必要がどこにあるのかと、疑問に感じたのを覚えている。

 しかし、今までの9年間を振り返ってみると、86“style Cb”は確かな功績を遺したと言える。第一に挙げられるのが女性からの支持。オフ会で86“style Cb”を見かけることはめったになかったが、ご夫婦のオーナーにお会いしたことがある。

 聞けば標準車推しの旦那様と86“style Cb”推しの奥様の間で綱引きが行われた結果、奥様が勝利。86“style Cb”を購入し、今も86ライフを楽しんでいるという。

 このケースの場合、86“style Cb”がなければ、86の購入自体がご破算になっていた可能性もあるかもしれない。そういう意味では、86“style Cb”は標準車では満足できない人たちの選択肢として機能していたと言える。

■カスタマイズのお手本にもなった86Cbという存在の意義

まろやかなボディラインは、角度によっては往年の名車2000GTを思い起こさせる

 また、クラシック路線を追求したスタイルは、エアロパーツメーカーをはじめとするサードパーティに影響を与えた。86“style Cb”が初めて姿を現したのが、2013年の東京オートサロン。

 86“style Cb”は続く2014年にも展示され(この時はオープンモデルも展示)、その後、市販化に進んでいったが、2014年以降、サードパーティ各社から86“style Cb”と近いコンセプトの86やエアロパーツが登場したのは無関係ではないだろう。フェンダーをLEDで光らせたのも大きなインパクトがあった。

 似たようなことはユーザーのカスタマイズにも言え、86“style Cb”は標準車オーナーの2トーンルーフ化のお手本になった。

 当時はちょうどラッピングによるカスタマイズが流行り始めた頃で、86“style Cb”は単純にAピラーとルーフを2トーン化するのではなく、フェンダー上部からキャビンの下側を縁取るようにラッピングし、トランクも同色にしていた。

 このまとまりの良いデザインが、トレンドに敏感なユーザーたちのアンテナに引っかからないはずはない。86“style Cb”がカスタマイズシーンに与えた影響は少なくないだろう。

次ページは : ■86の歴史に刻まれるべき「優雅さ」を持った一台

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