ジムニー、ハイエース、クラウン…日本だから育った唯一無二のクルマたち

■コンパクトなのに3列シート!! 日本の家族構成を体現した2台

 乗用車ベースで3列シートを持つミニバンというジャンルはもともとクライスラーが1980年代前半に開拓したジャンルで、日本では1990年に登場した初代エスティマや初代MPVが始まりであった。

 その後日本でステーションワゴンやSUV、ミニバンといった当時はRVと呼ばれたジャンルが人気になったことや、一家に一台のファミリーカーの形がかつてのコロナやブルーバードといったセダンからミニバンが主流になったこともあり、ミニバンは日本を代表するジャンルに成長した。

 その中で特に世界に誇れる存在と筆者が感じるのはコンパクトクラスのシエンタとフリードだ。この2台はパレットタイプの機械式駐車場に対応するケースも多い1750mm以下の全高で、日本でも扱いやすい絶妙なボディサイズだ。

 使い勝手に優れるスライドドアを持つ上に、二時間程度なら大人も耐えられる3列目シートを備え、燃費も良好。

フリードには走りも楽しめるModulo Xも登場。シエンタと共に3列目シートがあっても突き抜けている存在だ
フリードには走りも楽しめるModulo Xも登場。シエンタと共に3列目シートがあっても突き抜けている存在だ

 こういった美点はこの2台がもう定番の存在となっていることもあり、日本人にとっては当たり前のことなのかもしれない。輸入車のミニバンにスライドドア採用車種が少なく、この2台並の3列目シートのスペースを得るには1つ上のミドルクラス以上が必要だ。

 そう考えるとこの2台を作ったエンジニア、そしてその土壌を形成した日本の消費者は凄いと感じないだろうか。

■日本オリジナルの超万能運搬車といえばハイエース

 ハイエースは基本的に乗用車の5ナンバー枠の商用車版となる日本独自の4ナンバー枠を一杯に使い「最大限の室内空間を確保する」という大きなコンセプトを持ち、そのコンセプトを達成している。

 加えて限られた枠の中ながら登場から14年となる今でもスタイルが古さを感じないどころか、素直に「カッコイイ!」と感じる人が多い点も素晴らしい。

 また広いスペースはワークユースだけでなく、バイクやマウンテンバイクのような遊び道具の運搬やキャンピングカーのベース車両、さらにワゴン仕様なら10人がユッタリ乗れるなどユーザーの使い方やアイデア次第で夢に溢れた空間として使える点もハイエースならではの魅力だ。

ハイエースはカスタムベースとして趣味のクルマでも人気。宅配便などでの活躍も忘れられない
ハイエースはカスタムベースとして趣味のクルマでも人気。宅配便などでの活躍も忘れられない

 こういった要素に加えハイエースは抜群の信頼性、耐久性を持つこともあり、特に東南アジアの新興国などで絶大な人気となっており、中国ではハイエースのライバル車を通り越して100%クローンのようなコピー車が多数販売されているほどである。

 コピー車の是非はさておき、日本車が外国車の影響を大きく受けることは多々ある中で、日本車が外国でコピーされるというのはハイエースがおそらく唯一となる凄いことではないだろうか。

■いつかはクラウン 日本専用モデルからの脱却!?

 1955年に日本初の純国産車として初代モデルが登場して以来、日本車としてはもっとも長い歴史を持つクラウンは一貫して「ボディサイズなど日本の風土、使用環境に合った高級車」というコンセプトを持つ。

 保守的なクルマというイメージが強いクラウンであるが、その長い歴史の中ではターボやスーパーチャージャーといった過給機、トラクションコントロールや横滑り防止装置といった安全装備のいち早く搭載、現行モデルでは主力モデルを伝統の6気筒エンジンから4気筒エンジン+ハイブリッドに移行するなど、イメージとは裏腹にいろいろな部分で積極的な挑戦を行ってきたモデルでもある。

クラウンがニュルを走り込むのは異様にも思える光景だったが、新型もきっと日本市場を重視したモデルになるはずだ
クラウンがニュルを走り込むのは異様にも思える光景だったが、新型もきっと日本市場を重視したモデルになるはずだ

 かつては日本でしか通用しない高級車だったのも否めないクラウンであったが、ゼロクラウンと呼ばれた2003年登場の13代目モデルからは中国での現地生産による海外市場への挑戦も開始。

 そして今年登場する次期モデルは仕向け先はともかくとして、コンセプトモデルが出品された東京モーターショーで流れたプロモーションVTRであのニュルブルクリンクでのテストの模様も収録されており、ヨーロッパの厳しい使用環境にも対応することが期待できそう。

 それだけに次期クラウンが「日本の使用環境にもジャストミートしながら、世界にも通用する高級車」という今までにはなかった、日本代表として誇れるクルマになることを期待したい。

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