■自動車産業の中心地ということも影響した販売台数の内情
愛知県が自動車産業の中心地であることも、軽乗用車を含めたクルマの販売台数を押し上げた要因だ。工業製品の生産額を都道府県別に見ると、愛知県は全国で最も多い。工業に従事する人口も1位になる。
特に自動車(2輪車を含む)の生産台数は、金額ベースで見ると、愛知県が圧倒的な1位を守る。自動車産業に従事する人達が多ければ、クルマの売れ行きも伸びるのは当然だろう。
このように愛知県は、世帯数や人口が多く、なおかつ日常的にクルマを必要とする郊外の住宅も豊富だ。自動車産業を含めた工業も盛んだから、クルマに対するニーズが多角的に増えた。郊外であれば1人に1台の需要もあり、軽自動車の販売台数が最も多い地域になっている。
軽乗用車の販売台数が2位の埼玉県も、前述の通り人口は日本の都道府県の中で5番目に多い。4位の愛知県に次いでいる。人口密度は、愛知県が5位、埼玉県は4位で少し上まわる。人口と人口密度のバランスが愛知県に似ており、軽乗用車の売れ行きも好調だ。
以上のように軽乗用車の販売台数は、基本的には総世帯数および人口、人口密度という要素で決まる。東京都や神奈川県のように総世帯数と人口が多くても、人口密度も高いと、公共の交通機関が発達するから軽自動車のニーズは下がってくる。
その点で総世帯数と人口が多く、なおかつ人口密度は低いと、軽自動車のニーズが高まる。愛知県はこのパターンに当てはまり、なおかつ自動車を含めた工業の活性化もあって、軽乗用車の売れ行きが伸びた。軽乗用車の販売台数が2位の埼玉県、3位の静岡県も、このパターンに沿っている。
■軽商用車トップも愛知県ながら、2位には意外(?)にも東京都が
一方、軽商用車の販売台数も、一番の多いのは愛知県だが、2位には東京都が入った。東京都の場合、軽乗用車の販売台数は10位なのに、軽商用車は好調だ。
しかも軽商用バンの売れ行きは、全国で1位になる。東京はビジネスが活発で、道路環境は混雑しているから、軽商用バンが重宝する。複数の商用車を所有する法人などは、軽商用車であれば、税金の安さもメリットとして際立つ。軽トラックは果物などを運ぶ農業に使いやすいが、軽商用バンは、街中の配達などに最適だから東京都の需要が高まった。
このように見てくると、軽自動車が全国的に高い支持を得ていることが分かる。乗用車、商用車ともに、毎日の生活に欠かせないツールとして、プライベートからビジネスまで日本の移動と物流を支えている。
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