他の追随を許さぬ23年連続トップ! なぜ愛知県は日本で一番軽が売れるのか!?

 全国軽自動車協会連合会は2021年1月15日に、2020年(1~12月)の軽四輪乗用車県別新車販売台数を発表した。その結果で、愛知県が統計開始以来、23年連続トップとなった。

 愛知県は前年比11.0%減ながら8万5807台を販売。2位の埼玉県に1万6000台以上の差を付けトップに輝いた。

全国軽自動車協会連合会がまとめた軽四輪車県別新車販売台数

 ほかにもひとり1台位程度マイカーを所有している県があるにもかかわらず、なぜ愛知県がこれほど圧倒的なのか? そのワケを考察していきたい。

文/渡辺陽一郎
写真/編集部

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■普及率は少なくても販売台数、保有台数でトップを独走する愛知県

 2020年の軽乗用車の販売台数を都道府県別に見ると、1位:愛知県、2位:埼玉県、3位:静岡県、4位:大阪府、5位:福岡県と続く。愛知県は従来から軽乗用車の販売が好調だ。

 好調に売れるだけあって、愛知県では保有台数も多い。軽乗用車の保有台数ランキングは、1位:愛知県、2位:北海道、3位:富山県、4位:沖縄、5位:静岡県だ。2位以下は大きく異なるが、1位の愛知県は販売台数、保有台数ともに1位になる。

 ちなみに小型/普通車の保有台数も愛知県が1位だ。それ以下は、2位:東京都、3位:神奈川県:4位:埼玉県、5位:北海道と続く。軽乗用車の保有台数は、東京都は47位、神奈川県は28位と低いのに、小型/普通車では上位に入る。その点で愛知県は、カテゴリーを問わず圧倒的に多くの車両が保有されている。

愛知県で最も売れているメーカーはダイハツ(3万4505台)、次いで2位はスズキ(2万4918台)だ

 軽自動車(商用車を含む)の世帯当たり普及率を見ると、1位:長野県、2位:鳥取県、3位:佐賀県、4位:島根県、5位福井県で、この5県では、10世帯に10台以上の軽自動車が保有される。愛知県は10世帯当たりの普及率は5.2台と少ない。

 それでも販売台数と保有台数が1位なのだから、世帯数や人口の多いことが考えられる。総務省のデータによると、都道府県で最も世帯数が多いのは東京都、次いで2位:神奈川県、3位:大阪府、4位:愛知県、5位:埼玉県と続く。人口の順番も同様で、1位:東京都、2位:神奈川県、3位:大阪府、4位:愛知県、5位:埼玉県だ。

 そして人口密度の順番は、1位:東京都、2位:大阪府、3位:神奈川県、4位:埼玉県と続き、愛知県は5位になる。愛知県も人口密度の順位は高いが、1km平方メートル当たりの人数は、東京都の23%、神奈川県の38%に留まる。

 つまり愛知県は、世帯数や人口の多い東京都、神奈川県、大阪府に比べると、人口密度が少ないために、公共の交通機関ではなく自分のクルマを使うことが多い。世帯数や人口は全国で4位なのに、過密した都市部が少ないことから、クルマの売れ行きが伸びた。

愛知県民あるあるとして、クルマは一家に一台ではなく、一人に一台 !?普段のアシとして欠かせないため、免許取得後のエントリカーとして、お家のセカンドカーとして軽自動車の購入が盛んだ

■自動車産業の中心地ということも影響した販売台数の内情

 愛知県が自動車産業の中心地であることも、軽乗用車を含めたクルマの販売台数を押し上げた要因だ。工業製品の生産額を都道府県別に見ると、愛知県は全国で最も多い。工業に従事する人口も1位になる。

 特に自動車(2輪車を含む)の生産台数は、金額ベースで見ると、愛知県が圧倒的な1位を守る。自動車産業に従事する人達が多ければ、クルマの売れ行きも伸びるのは当然だろう。

 このように愛知県は、世帯数や人口が多く、なおかつ日常的にクルマを必要とする郊外の住宅も豊富だ。自動車産業を含めた工業も盛んだから、クルマに対するニーズが多角的に増えた。郊外であれば1人に1台の需要もあり、軽自動車の販売台数が最も多い地域になっている。

 軽乗用車の販売台数が2位の埼玉県も、前述の通り人口は日本の都道府県の中で5番目に多い。4位の愛知県に次いでいる。人口密度は、愛知県が5位、埼玉県は4位で少し上まわる。人口と人口密度のバランスが愛知県に似ており、軽乗用車の売れ行きも好調だ。

軽自動車の売れている愛知・埼玉・静岡の各県に共通する要素の一つとして、高速道路の整備が進んだことも挙げられるのではないか。最新モデルであれば運転支援機能も充実し、高速走行も楽だ

 以上のように軽乗用車の販売台数は、基本的には総世帯数および人口、人口密度という要素で決まる。東京都や神奈川県のように総世帯数と人口が多くても、人口密度も高いと、公共の交通機関が発達するから軽自動車のニーズは下がってくる。

 その点で総世帯数と人口が多く、なおかつ人口密度は低いと、軽自動車のニーズが高まる。愛知県はこのパターンに当てはまり、なおかつ自動車を含めた工業の活性化もあって、軽乗用車の売れ行きが伸びた。軽乗用車の販売台数が2位の埼玉県、3位の静岡県も、このパターンに沿っている。

実は軽自動車販売数1位愛知県から5位の福岡県まで各メーカーの生産拠点があり、販売数にも貢献か(愛知:トヨタ・三菱、埼玉:ホンダ、静岡:スズキ、大阪:ダイハツ、福岡:トヨタ・日産)

■軽商用車トップも愛知県ながら、2位には意外(?)にも東京都が

 一方、軽商用車の販売台数も、一番の多いのは愛知県だが、2位には東京都が入った。東京都の場合、軽乗用車の販売台数は10位なのに、軽商用車は好調だ。

 しかも軽商用バンの売れ行きは、全国で1位になる。東京はビジネスが活発で、道路環境は混雑しているから、軽商用バンが重宝する。複数の商用車を所有する法人などは、軽商用車であれば、税金の安さもメリットとして際立つ。軽トラックは果物などを運ぶ農業に使いやすいが、軽商用バンは、街中の配達などに最適だから東京都の需要が高まった。

最近アマゾンの個人配送業者の募集などで「緑ナンバーの軽自動車を所有していれば、即起業!」といった文言を目にする。都心での物流を担っているのは軽商用車なのだろう

 このように見てくると、軽自動車が全国的に高い支持を得ていることが分かる。乗用車、商用車ともに、毎日の生活に欠かせないツールとして、プライベートからビジネスまで日本の移動と物流を支えている。

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