自動運転技術での「日本」の現在地 【自律自動運転の未来 第1回】

■「レベル3」の先陣を切ったホンダ

 2021年、自動運転技術における最初のトピックは、日本において自動化レベル3技術を実装した車両が発売されることです。2020年11月11日、ホンダ「レジェンド」が自動運行装置を備えた世界初の型式指定を受け、2021年3月末までに市販されることが決定しています。

世界に向けて「レベル3」の先陣を切るのはホンダ。同社の最高級車であるレジェンドに搭載される
世界に向けて「レベル3」の先陣を切るのはホンダ。同社の最高級車であるレジェンドに搭載される

 ここに至るまで国土交通省では、「自動運行装置の保安基準等の概要」として次のような経緯でとりまとめを行っています。

 2018年9月、基準策定までの車両安全に対するガイドライン策定を開始。ここでは、自動運転技術を搭載した車両が公道を走行する際の保安基準の細かく定められ、同時に過去に実装されてきた先進安全技術からどのような普及方法が最適なのか、その検討も行われてきました。

 たとえば、前走車への追従走行を行う「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)機能」や、車線の中央を走行するようステアリング操作をサポートする「車線中央維持(LKS)機能」の普及具合から、ドライバーへの過信を防ぐにはどのようなディスプレイ表示や警報ブザーのあり方が良いのかなどが議論されました。

 ここでのディスプレイ表示や警報ブザーは、人とシステムで情報のやりとりを行うために使われることからHMI(Human Machine Interface/人と機械の接点)と呼ばれています。技術革新と人間工学が同調しはじめた1980年代から注目されはじめたHMIの存在は、運転時の快適性を高めつつ、同時に解析技術の向上から、事故抑制にも効果があることが実証されています。

■日本は「自律自動運転」のリーダーに!?

 2019年5月には、自動化レベル3の礎となる改正道路運送車両法が成立。同時期に国連の「自動車基準調和世界フォーラム」(WP29)での自動運転技術に対する国際的な枠組みを踏襲し議論を深めています。2020年4月には改正道路運送車両法の保安基準が施行され、事実上、ここから自動化レベル3を実装した車両の販売が認められました。

 この2020年4月に施行された改正道路運送車両法の保安基準については、自動化レベル3技術を搭載したレジェンドの発売以降に詳細を解説します。

 現在に至るまで日本は、WP29の専門分科会において議長国や副議長国を担っていることから、2020年6月にWP29において成立した「自動運行装置の国際基準」では、リーダー的役割を果たしてきました。

「日本の自動運転における技術開発は諸外国と比較して遅れている」という論調がみられますが、現実はその逆です。正確には「木を見て森を見ず」。

 日本は、ディファクトスタンダード(事実上の業界標準)を奪取すべく専門分科会や「自動運転基準化研究所」での活動を通じてあらゆるプランをWP29に提案しています。産官学連携を武器にした強い発信力を持つ日本は、国際基準の成立において中心的存在として認知されているのです。

 成果のひとつとして「衝突被害軽減ブレーキ」の国際基準(2019年6月成立)が挙げられます。日本では2021年11月以降に発売される新型の国産車に衝突被害軽減ブレーキの義務化が始まりますが、この国際基準は日本が発案したプランそのものです。このように、先進安全技術と自動運転技術において日本はルール作り側の最先端に位置する。これが現在地です。

ホンダはクルーズ・GMとともに日本での自動運転モビリティサービス事業に向けた協業を行う。発表されたイメージ画像によると、公共交通機関のような(バスのような?)使い方が想定されそう。2021年中にGMボルトを使った日本国内での技術実証を目指すとのこと
ホンダはクルーズ・GMとともに日本での自動運転モビリティサービス事業に向けた協業を行う。発表されたイメージ画像によると、公共交通機関のような(バスのような?)使い方が想定されそう。2021年中にGMボルトを使った日本国内での技術実証を目指すとのこと

次ページは : ■開発担当者の「感性」によっても違う!!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす! 愛車がどれだけ部品を交換してもグズり続けて悲しみの編集…