■日産 ラシーン 1994年
今、復活したら受けそうな一台が「ブサカワ」系クロスオーバーのラシーンだろう。1993年の東京モーターショーに出展され、評判となったことから翌年12月にデビュー。「僕らのどこでもドア」をキャッチコピーとドラえもんの登場するCMを覚えている方も多いのではないか。
デビューがRVブームの真っ只中だっただけに、クロスオーバー風味に仕立てられていますが、SUV感は薄く、しかしながら単なるハッチバックでもないという元祖「クロスオーバー」カー。
コンセプトカーのまま世の出たような個性的な外観とは裏腹に、かなり実用的で機能性が高いのが特徴だった。全高は1515mmなので、機械式駐車場にもしっかり収められるのに、最低地上高は170mmを確保。さらに4WDを標準とするなど、意外とやるなと思わせるクルマだった。
しかもベースはサニーなので、取り回しや室内の広さなども問題なし。このため、デビュー当時はかなり人気となった。もともとユーザーの多様性を考慮して生み出されたこともあり、今なお、自由にカスタムして楽しむ人も多いラシーン。思ったよりも奥深く、それも今なお愛され続ける理由なのだろう。
■マツダ オートザム・キャロル(2代目) 1989年
可愛いコンパクトとして個人的に外せない一台が、復活を果たしたキャロル。
マツダが軽自動車市場に再び参入するために開発された新キャロルは、スズキに協力を仰ぎ、アルトのプラットフォームを提供してもらい、マツダが独自の内外装を施したもの(初代キャロルは1962〜1970年、2代目キャロルは1989〜1995年、3代目が1995〜1998年で、1998年以降はOEMへ)。
2代目キャロルはデビューしたのがバブル期ということもあって、基本コンポーネンツをアルトと共有しながらも、お金をかけてボディを完全にマツダオリジナルへ仕立て直しており、その丸みを帯びた愛らしいフォルムはたちまち大人気となった。
デザインのどこにもアルトの存在を感じさせないだけでなく、軽セダンとしては珍しく3ドアのみで、独自にキャンバストップ仕様を設けるなど、愛車とともに何処へでも出かけたいアクティブな女性の相棒に相応しい個性を持っていた。見事復活を遂げたキャロルだったが、バブル崩壊後、マツダの経営悪化の影響もあり、アルトのOEM(ベース車からの変更はエンブレムのみ)へとシフト。復活後のヒット作が1代のみとなったのは寂しい限り。
■縮小したこのカテゴリー、それでも後継車は……
以上、平成以降のメーカー系国産車から選び出した5台のクルマたち。皆さまの推す「可愛い」コンパクトカーは含まれていただろうか。
当時を知るクルマ好きにとっては(パステルカラー満載のいかにも「女子向け!」を前面に押し出しているカタログやポスターにげんなりしつつ)、各メーカー猫も杓子も用意していたこのカテゴリーが、現状いまいち盛り上がりに欠けていることに一抹の寂しさを感じる。
ダイハツのミラコアがこの3月に販売終了となり、今春〜初夏にかけて後継車が準備されているという。この新型車に大いに期待したい。
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