米国レクサスが、公式サイトでスマートフォンなどを操作するために注意力が散漫になる「ながら運転」がいかに危険であるかの啓蒙動画を発表した。米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によると、注意散漫な運転によって2019年の1年間に、米国で3142人の命が奪われたという。
●米国レクサスは公開した「ながら運転」の危険性を知ってもらうための啓蒙動画
約90km/hで走行している場合、前方の道路から4.6秒(メールの送受信にかかる平均時間)も視線をそらすのは、目を閉じてサッカー場を運転するようなものだそうだ。
日本でも、2019年12月から走行中スマートフォンなどを使用する「ながら運転」に対する厳罰化が始まったが、のど元過ぎれば……というやつで、忘れている人もいるのではないだろうか? レクサスの試みはどういったものだったのかの解説から、ながら運転がいかに危険であるかを解説していきたい。
文/高根英幸
写真/LEXUS、Adobe Stock(Andrey Popov@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】レクサス公開の 4.6秒の「ながら運転」体験動画を写真でチェック!!
■米国では走行中のスマホ操作で平均4.6秒もわき見運転!
ながら運転の危険性は、頭では理解しているけれど、と思っているドライバーは多いハズだ。客観的に見れば、どれだけ危険なことだかわかっているハズなのに、気が付けばついつい運転中にスマホ画面をチェックしている、そんなドライバーは少なくないのではないだろうか。
運転に慣れるほど、走行中に気持ちに余裕が生じて、油断や気の緩みから危険を呼ぶケースが珍しくない。「一瞬のチラ見なら大丈夫」そう思っている人も、これから紹介する情報を知れば、考え方が変わるだろう。
米国レクサスは、前を見ていない状態で運転していることの危険性を実感してもらう実験を行なった動画をHPで公開している。すべてのウインドウに特殊なフィルムを貼り、一瞬で無色透明な状態から乳白のスクリーンへと化す仕掛けが施されたレクサス『NX』を用意して、広い敷地にパイロンで曲がりくねったコースを設定したものが実験の舞台だ。
レクサス『NX』に施された仕掛けは聞かされずに、何組かの一般ドライバーが参加したようだ。事前のインタビューでは、運転中にスマホのテキストメールを読むことがあっても、それは1秒か2秒くらいと思っていると答えている。
だが、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の調査によると、運転中のドライバーがスマートフォンを操作してメッセージを送受信するのに、平均4.6秒かかるとされている。そこでレクサスはドライバーがコースを走行中にいきなり前方視界を乳白のスクリーンで遮ってしまったのだ。時間はきっかり4.6秒、当然のことながら突然視界が真っ白になってしまったドライバーは驚きの声を上げながらステアリングやブレーキを操作して、危険を回避しようとするのだった。
しかし案の定、コースを飛び出してパイロンを潰したり跳ね飛ばしているだけでなく、自転車やオートバイを模した発泡スチロールを跳ね飛ばしたり、ブロック状の発泡スチロールの壁に突っ込んでしまう。NHTSAによると、米国では注意散漫な運転によって2019年の1年間に3142人の命が奪われたそうだ。
わき見運転をするのはそんな複雑な形状の道路ではなく、大抵は直進状態で巡航している時だからレクサスの動画はちょっと条件が厳しすぎる、という意見もあるだろう。しかし、日本で交通事故が起きている状況を知れば、そんな考えは甘いことであることがわかるハズだ。
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