■日産エクストレイル
日産エクストレイルでは、ハイブリッドの商品力が低い。JC08モード燃費を売れ筋の4WDで見ると、ノーマルエンジンの20Xが15.6km/l、ハイブリッドの同グレードが20km/lだ。ハイブリッドの燃費向上率は28%で、実際にテスト走行した時の燃費も期待はずれだった。その結果、エクストレイルのハイブリッドは、売れ行きが伸び悩んだ。
そこで2017年のマイナーチェンジでは、各種の装備を充実させながら、ハイブリッドはノーマルエンジンに比べて値上げ幅を抑えた。以前のハイブリッドは、ノーマルエンジンに比べて実質的に約44万円高かったが、今は約34万円に縮まった。
しかしそれでもなお、34万円の価格差を燃料代の差額で取り戻すには、10万km以上の走行を要する。
またエクストレイルでは、荷室に装着された防水ラゲッジボード(床面)が魅力なのに、ハイブリッドには装着されない。開発者に理由を尋ねると、「ハイブリッドでは荷室の床下に駆動用電池が搭載されるから、濡れたモノは積んで欲しくない。そこで防水にしなかった」と言う。
これには驚いた。そこで「駆動用電池の防水対策はそんなに弱いのか? 防水加工のないエクストレイルハイブリッドの荷室に大量の水をこぼしたら、漏電するのか!?」と改めて尋ねると「そんなことは絶対にない。防水対策は入念に行ったが、駆動用電池が搭載されることを示す意味と、基本的な使い方として濡れたモノを置くべきではないからだ」と説明された。
納得はできるが、防水の荷室がないと「タフ・ギア」のエクストレイルに乗る楽しさが削がれるような気分になる。
以上のような理由で、エクストレイルのベストグレードは、ノーマルエンジンを搭載した4WDの20X(275万5080円/2列シート)としたい。
■ホンダジェイド
フィット/カローラアクシオ/エクストレイルの3車種は、「ハイブリッドの搭載に伴う価格上昇を、燃料代の節約で取り戻せるか」という損得勘定で、ノーマルエンジンを選んだ。高価なハイブリッドを搭載する割には燃費向上率が小さく、価格上昇分を取り戻せないからだ。
ところがホンダジェイドは違う。燃費とか価格以前の話として、ジェイドの性格には、1.5Lのハイブリッドよりも同じ排気量のターボが似合うからだ。
ジェイドは3列シートのミニバンとして開発され、売れ行きを低迷させたが、本質はボディがワイドなスポーティ指向の5ドアハッチバックだ。3列仕様はその荷室に、補助席を装着したに過ぎない。
そこで2018年5月17日にマイナーチェンジを実施して、主力のRSを従来の3列シートから2列に変更した。サスペンションの設定も見直している。
走行性能を幅広く改善したので、ますます1.5Lターボエンジンとの相性が良くなった。ベストグレードは、1.5Lターボを搭載するRSホンダセンシング(255万8520円)になる。
■レクサスLC
今はクーペの売れ行きが世界的に低下して、車種の数も減った。GMのシボレーカマロ、日本から撤退したフォードのマスタングなどは、外観の形状が初代モデルを連想させる。もはや若いユーザーはねらえず、外観が懐古趣味になった。
その意味でレクサスLCは貴重だ。国産クーペは日産GT-R、ホンダNSXを代表に魅力が分かりやすいスポーツ指向だが、レクサスLCは高性能と豪華さを併せ持つ。
パワーユニットはV型8気筒の5Lと、V型6気筒3.5Lのハイブリッドだ。趣味性が重要なスペシャルティカーだから、運転感覚の好みに応じて選べば良いが、ハイブリッドは同タイプをトヨタクラウンにも搭載する。ハイブリッドは高性能で低燃費(レクサスLC500hのJC08モード燃費は、2Lセダンと同等の15.8km/l)だが、レクサスLSの搭載も含めて一般的なパワーユニットになった。
その点でV型8気筒の5Lは、スペシャルティな扱いを受けている。レクサスRC・F/GS・Fと同型で、高回転域の吹き上がりは、大排気量エンジンながらも抜群に機敏だ。エンジン回転数が高まるほど、引き上げられるように回転上昇が鋭くなっていく。機能的な動力性能と安定性はGT-Rが勝るが、スポーツカーの情緒は、V8エンジンのレクサスLCが洗練されている。
そしてV型8気筒エンジンは、環境対応が難しく、今では新規開発をしていない。新しいレクサスLSが搭載するのは、LCと同じハイブリッドと、新開発されたV型6気筒3.5Lツインターボだ。
つまりLCのV8エンジンを新車で買える期間は限られる。だからLCのベストグレードは、LC500・Lパッケージ(1300万円)になるわけだ。
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