■日本のハイパワー車のパワーウェイトレシオはどうだろう?
No.14
レクサス
LC500
kg/ps値=4.06(最高出力=478ps・車両重量=1941kg)
新たなプラットフォームを得て今春登場する、レクサスの新型フラッグシップクーペがLC。RC Fなどにも搭載される5LのV8エンジンに10速ATが組み合わされ、質の高い走りを披露する。価格は1300万円程度の予想。
No.15
日産
GT-R NISMO
kg/ps値=2.90(最高出力=600ps・車両重量=1740kg)
優れた4WDシステムが武器。0-100km/h加速は570psのトラックエディションでも2.9秒をマークする。1870万200円という価格はダテではない。
No.16
ホンダ
NSX
kg/ps値=3.06(最高出力=581ps・車両重量=1780kg)
3.5LのV6エンジン+3モーターをパワーユニットとするハイブリッドスポーツ。過去にJARIで行ったテストにおける0-100km/h加速タイムは3.57秒だった。
No.17
レクサス
RC F
kg/ps値=3.75(最高出力=477ps・車両重量=1790kg)
伸びやかなサイドビューが美しいボディに5LのV8エンジンを搭載。8速ATとの組み合わせで、0-100km/h加速は4.5秒(レクサス公表値)を記録する。
No.18
レクサス
LFA
kg/ps値=2.64(最高出力=560ps・車両重量=1480kg)
2010~’12年に500台限定で生産されたスポーツモデル。4.8LのV10エンジンを搭載し、0-100km/h加速タイムは3.7秒。
■元GT-R開発責任者 水野和敏さんに聞く! kg/psに意味はあるか
いきなりですが、速さとパワーウェイトレシオの間に、関係はまったくありません。速さに関係するのは0~4000回転領域のトルクウェイトレシオです。
私はレースに携わっていた時に、回転数が回らないエンジンを作れというオーダーをしました。7000~8000回転の間しかパワーゾーンがないエンジンより、2000回転から4000回転の間でトルクウェイトレシオがしっかりあるクルマのほうが速いからです。
クルマを軽くして、パワーを上げればパワーウェイトレシオの数値は下がります。
でもそれでパワーウェイトレシオが“1”とか“2”のクルマを作っても、タイヤにかかる荷重が抜けちゃうようじゃ、まったく意味がないんです。
F1マシンは確かに軽量ですが、あれは空力によってダウンフォースがかかった状態を考えているからです。自重+空力による荷重。それでタイヤにグリップ荷重を与えているんです。だから静止した状態の車重から計算するパワーウェイトレシオには、何の意味もありません。
まとめますと、大事なのはパワーウェイトレシオよりもトルクウェイトレシオのほうで、そのウェイトっていうのは、空力ぶんも入れて考える必要があるよ、ということなのです。そこをわかっていないと、いくら見かけ上の数値はよくても、たいして速くもないスーパーカーしかできないよ、ということです。
水野氏にはあっさり否定されてしまったが、やはりパワーウェイトレシオの数値がよいクルマには、なぜかワクワクさせられるというのは事実。なので自動車メーカーには、今後ともこういうわかりやすいモデルを作り続けていただきたい。あっ、空力も忘れずにね♡
【番外編コラム・あのスーパーカーのkg/ps、戦闘機やロケットの加速力は?】
1970年代に巻き起こったスーパーカーブーム。ここではそのブームの中心にいたモデルたちのパワーウェイトレシオを紹介する。参考までに同時代の一般的国産セダン代表として、2代目カローラの数値も載せておいた。お楽しみください。
ジェットエンジンのパワーは通常、推力で表すため馬力への換算には特殊な計算式が必要になるが、我が国の主力戦闘機F-15は「10万馬力のエンジンを二機積んでいる」と自衛隊が説明してくれている。なのでそこから計算するとF-15のパワーウェイトレシオは「0.06」となる。
お次はロケットだが、アポロ計画で使われたサターンV型ロケット、第一弾ロケットの総出力は1億6224万psとの情報がある。重量は303万8500kgなので、そこから計算するとパワーウェイトレシオは驚異の「0.019」という結果に。
空を飛んでいるヤツらは、やっぱりケタ違いのパワーを持ってることがよくわかった。
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