毎年気温が高くなる季節になると増えるのが、車内に乳幼児を残したまま買い物などに出かけてしまう事件。車内の温度は50℃を超えることも珍しくなく、熱中症で子どもが犠牲になることもある。
もちろんそのような車内に子どもを放置することはやめてほしいが、万が一そのような光景を目撃した時にあなたはどうするだろうか? 緊急時にどう対処すべきか、国沢さんに聞きました。
文:国沢光宏/写真:Adobe Stock
ベストカー2018年7月10日号
■車内放置を見逃すな!! 大人が防ぐ死亡事故
暑くなると毎年「車内に取り残された乳幼児が熱中症で死亡した」というニュースに接する。炎天下にクルマを駐めると、5分で車内気温は50度を突破する。
短い時間であっても身体を組成しているタンパク質が凝固してしまう高温に接したら、死亡する可能性も出てきます。
この手の痛ましい事故をなくすには、注意喚起だけでなく協力も必要だと思う。以下、クルマの達人の皆さんがショッピングセンターやパチンコ屋さんなどを利用する時のお願いなど。
まずクルマがたくさん駐まっているような場所にいったら、なるべく車内の様子を探りながら目的地まで歩いていただきたい。車内を覗きこむような行動は別の意味で問題だから、あくまでさりげなく。
通りすがりにチラ見する程度で充分。乳幼児を見つけたらどうしたらいいだろう?
車内は風の流れがないため、炎天下は短い時間であっても危険。すぐ行動に移らなければならない。管理者を探して呼び出してもらう、という余裕はなし。ただし例外を三つ。
【車内にエアコンがかかっている場合】
ひとつはエアコンかかっているケース。これなら時間的な問題を考えなくてOK。エンストすれば危険ながら、乳幼児の生命の危険性という点で猶予ある。
念のためその場に残り、当該施設を管理している企業へ電話し、誰かきてもらうようにすればよかろう。最近は施設側も車内放置された乳幼児の対応マニュアルを持っていることが多く、引き継げばいい。
【クルマの複数の窓が開いている場合】
ふたつ目は複数の窓が開いているケース。少しでも開いていれば車内気温の上昇速度抑えられ、絶対的な温度も上がりにくい。空気が動くので、発汗作用を期待できる。
とはいえ急ぐ必要あり、これまたエアコンかかっている時と同じように当該施設に連絡し、誰かきてもらうこと。多少面倒かもしれないが、誰かくるまでその場にいてほしい。
【直射日光がなく曇っている場合】
三つ目は直射日光がなく曇っている時。対応法としちゃ前の二つと同じでよかろう。5分で生命の危機を迎える可能性は低い。
■即座に緊急対処を取るべき事例と対処法
問題は炎天下で密室になっているケースだ。私ならすぐ110番通報をして、指示を求める。すでに時間経っているようならガラスを割ることも提案する。
警察だって後々問題になるから、おそらく「すぐいくから待ってほしい」か「救急を呼んでほしい」と指示するはず。指示に従うのが無難だと思う。
私ならどうするか? 待つ間、乳幼児の様子を見て危険だと思ったら再度110番してガラスを割ります。このあたりは自分の判断だ。
最近は「状況によっては窓ガラスを割ります」と公言しているパチンコ業者も出てきた。英断です! ちなみに窓ガラスを安全に割る方法も書いておく。
サイドガラスは鋭角があるモノ(尖った石などでいい)で割れるけれど、爆発的に飛び散る。乳幼児のすぐ横のガラスは絶対ダメ。1番遠いガラスを割る。
また、前後のガラスは簡単に穴が空かないため手を出さないこと(編集部註:フロントとリアの窓は、ガラスの間に樹脂を挟んだあわせガラスのため、いくら鋭利なもので叩いてもヒビしか入らないことが多い)。
ちなみに法律的には多くの弁護士が「緊急避難措置になるためガラス割っても罪に問われない」と解釈している。
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