■ランクルの人気が世界的に高いのは間違いない
ただ、ところ変わればではないが、ロシアでは豪華なランクルを飛び越えて、レクサスLXシリーズが大人気となっている。首都モスクワは世界でも最も“レクサスが愛されている街”ともされているが、その大半がLXシリーズとなる。数日間のモスクワ滞在で、東京でLXを見る頻度の10年分ぐらい見かけるといってもけっしてオーバーではない。
ソビエト崩壊以降、ロシアは幾度となく経済危機を経験している。自国通貨のルーブルへの国民の信用は低く、街にはドルやユーロの両替屋を多く見かける。そして、経済危機になると、資産保護の観点から富裕層の多くが高級車を購入することがあるとのこと。
そのなかで、壊れにくく人気の高い日本車としてレクサスが選ばれることが多いそうだ。中国やアメリカでもよく聞くのだが、メルセデスベンツやBMWなど、ドイツ系高級ブランドはロシアでも致命的ではないが、“故障が多い”との話を聞くので、レクサスが選ばれるようだ。
中国では現在、ランドクルーザー、ランドクルーザープラドともにラインナップされていないのだが、まだ販売されていたころに、広州市内の某中古車展示場へ取材に出かけた時、ショールームにプラドが委託販売車(展示場以外の業者の売り物)として展示してあったので見ていると、「それは密輸車両ですよ」と店の責任者が教えてくれた。
確かにドアミラーなどに書かれていた注意書きはアラビア文字で書かれていた。しかし、中国のナンバープレートがついていたので、不思議に思っていると、「密輸車ですけど、書類はすべて正規のものなので、ナンバープレートが取得できています」と、何やら禅問答みたいなことを言ってきた。
つまり、車両は密輸されたものなのだが、税関職員を買収しており、そのため正規の書類を作成してくれるので、“密輸したのだが、正式に輸入した車両になる”との話であった。
当時、プラドは各地で公安(警察)のパトカーになっていたのだが、その多くはそもそも密輸車であるとも教えてくれた。正規販売もされていたのだが、密輸までされるほど人気がたかかったのである。ある意味、まだまだ中国社会がいま以上にイケイケだった時代の話である。
何を言いたいかといえば、使い方や理由は異なるのだが、ランクルの人気が世界的に高いことは間違いなく、それは日本でも同じ。単純に「ランクルが好きだから」といったお客だけではなく、さまざまな目的を持った人も加わり競い合って予約発注する状況は、ヤリスクロスなどとは、少々状況は異なっているのである。
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