■「新型コルベット」や「光岡バディ」ほかにも年待ちオーダー多数あり!
似たような話が、シボレー コルベットでもあった。ミッドシップレイアウトでエンジンを積む最新のコルベットは、初期ロッド分をあっという間に完売したのだが、その多くがやはり専門ショップではないか? と言われているのだ(転売ヤーなどの存在は確認していない)。
あるアメリカ車好きは「そもそも、熱狂的なアメリカ車ファンは、今回正規輸入モデルは右ハンドルになっているので、左ハンドルのアメリカ仕様を個人輸入したり、専門業者から購入したりするでしょう」と話してくれた。
光岡自動車初のSUVとなる“バディ”が6月24日に正式発売されたが、こちらは納車待ち2年となっている。手作りで生産されるので、生産台数が少ないこともあるが、こちらは純粋に気に入って購入を決断した個人ユーザーが納車される日を楽しみに待っているようである。
最近ではヤリスクロスの“半年待ち”という納期遅延が話題となっているが、今回のランドクルーザーは、いまだに長期の納期遅延が続いているスズキ ジムニーのケースに似ていると考えられる。
スズキは公式には納期というものは発表していないのだが、納車待ちは1年を超えてしまうものとされている。ただ、現状では半導体不足もあるので流動的となっている。
2018年にインドネシアの首都ジャカルタで開催された、GIIAS2018(ガイキンド インドネシア 国際オートショー)会場内に、ジムニーシエラベースとなる、“ジムニーコンセプト”が展示されると、終日地元のメディアや一般入場者などが多数展示車を囲むほどの注目モデルとなっていた。
インドネシアだけでなくASEAN各国でも注目の的となっており、台湾のネットニュースでは、「ジムニーの5ドアが出る!」など、ホットなジムニーに関するニュースが飛び交っていたのを記憶している。
ジムニーシエラは、ようやくインドでも生産されるようになり、そこからもインド以外へ出荷されるようになったが、ランクルに関しては国内で生産し、世界へ輸出されている。海外での人気の高さもハンパなく、おいそれと国内向けの増産ができないという事情も、長期の納期遅延の背景にはあるようだ。
■ランクル人気とされる中東での 本当にモテるクルマとは
ランクルの販売台数が世界的に最も多いとされるのが中近東となっている。筆者は現行モデルとなる、ランクル200が発売直後だった2008年にUAE(アラブ首長国連邦)のドバイへ行ったことがある。仕事の合間に、道なき砂漠をSUVで走り抜ける“デザートサファリ”ツアーを申し込んで参加した。
参加したツアーで使われていたのはすべてランクルで、その多くは100シリーズだったのだが、新車の200シリーズも何台か混じっていた。筆者の乗ったランクルは100シリーズで、ドライバーはパキスタン系UAE国籍の男性であった。
砂漠を走りながら片言の英語でドライバーと話していると、「新型のランクルはノーグッドな部分が目立つ」と話し始めた。「新型は車重が重くなり、頻繁に砂漠でスタックするようになった」と語っている途中で、前方の200がスタックした。
みんなで脱出させて再びクルマを走らせていると、「新型ではトランスファーが電子式となった。これが使いにくい」とし、「さらに新型はだいぶ豪華となった。しかし、ここドバイでは直6のスタンダードグレードがよく売れていた。豪華な装備はいらない。冷温蔵庫だけついていればそれでいいのだ」とも話してくれた。
このドライバーは、過去に日本で中古車ビジネスに携わっていたこともあり、車内ではトヨタ カローラの型式番号を言い合い、通称グレードを当てるクイズなどをして盛り上がった。中古車ビジネスに携わっていた経験も踏まえての発言なので妙に説得力があった。
ドバイでは確かにランクルはよく売れているのだが、よく見ると役所や企業に白いランクルが多数並んでいる。つまり、日本では高級SUVの代名詞だが、少なくともドバイでは値段が手ごろで壊れにくい“実用車”と認知されているように見えた。
前出のドライバーに「何に乗りたいか」と聞くと、レンジローバーや、アメリカンブランドのトラックシャシーベースのSUVに乗りたいとし、明らかにそれらはランクルよりステイタスは上だと話してくれた。そして別れ際に「トヨタは少し勘違いをしているように見える」とも語ってくれた。
中東やアフリカなどの紛争地域では、“UN”とボディに書かれた国連(国際連合)車両のランクルが活躍しているのをニュース映像にて見ることがあるが、これも高級だからではなく、価格と性能、品質のバランスのよさで選ばれているのだろう。
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