■スタートでつまずいた『新型アクア』は今後のトヨタの戦略次第
フィットはヤリスのライバル車としてメディアでも取り上げられることがあるが、ホンダの販売現場では、「キャラクターが異なる」としてライバルとしては強く意識していない。
「フィットは同クラスのなかでも、居住空間を広くとり、後席の快適性を重視しております。ヤリスはパーソナルユース色が強く、後席が狭いです」とはホンダのセールスマン。
さらに「フィットは4気筒ですが、ヤリスは3気筒です」と、セールストークでの“キラートーク”のように語りかけてきた。ハイブリッドシステムについては、「うちのはトヨタさんと、日産さんのe-POWERの“いいとこどり”ですよ」と説明してくれた。
新型アクアも3気筒エンジンベースなので、そこはヤリスと変わらないが、電子式シフトレバーなどを採用し質感アップを行い、後席居住性などもヤリス以上となっている。新型アクアはノートシリーズよりもフィット ハイブリッドをより意識しているのかもしれない。
ノートやフィットは、それぞれのメーカーにとって“オンリーワンコンパクトカー”となっている。つまり、ノートやフィットがカバーしなければならない客層はかなり広い。
一方でトヨタはダイハツからのOEMも加えれば、パッソ、ライズ、ヤリス、アクア、ルーミー、ヤリスクロス、カローラスポーツ、C-HRとワイドバリエーションとなっており、「ライズに納得できなければ、ヤリスクロスをすすめる」といった商売が可能となっている。
隙間のないラインナップでトヨタ内のみでの検討に持ち込み、トヨタ以外のメーカー車を検討させずに囲い込もうというの販売方法である。前述したライズとヤリスクロスでは、「ライズにハイブリッドがあればなあ」というお客を、ハイブリッドのあるヤリスクロスに誘導して買ってもらうといったことになる。
そのような緻密なラインナップのなかで、新型アクアを投入するならば、「1750㎜以下の3ナンバーサイズとなるハイブリッド専用コンパクトハッチバック」としたほうがいいと思うし、やはりオーラのBOSEオーディオシステムのような“飛び道具”があったほうがよかっただろう。
ただ、そうなるとプリウスとキャラが近づいてしまうので、それを避けたかったのかもしれない。
スタート時点で、新型アクアは少々つまずいているようだが、もしそうならば、これをどうリカバリーさせていくのか、そこがトヨタの腕の見せどころであり、今後の見どころともいえるだろう。
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