VWティグアン マイナーチェンジ!! 欧州ベストセラーSUVの実力は?

VWティグアン マイナーチェンジ!! 欧州ベストセラーSUVの実力は?

 2021年5月、VWはマイナーチェンジを経て新しくなったSUVモデル ティグアンを発表した。

 デザイン一新、新1.5Lターボエンジン搭載、 同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」を採用するなど大幅改良。

 その実力を自動車評論家 清水草一氏が確かめた!

●ティグアンマイナーチェンジのトピックス
・デザインを刷新し、力強いスタイリングを実現
・強化されたパワートレイン
・最新の運転支援システム・コネクティビティ機能を採用
・フォルクスワーゲンのSUV初のハイパフォーマンスモデル「Tiguan R」を追加設定

●ティグアン グレード&価格
・TSI Active:407万9000円
・TSI Elegance:483万9000円
・TSI First Edition(特別仕様車):524万9000円
・TSI R-Line:503万9000円
・R(2Lターボ):684万9000円

※本稿は2021年5月のものです。
文/清水草一 写真/ベストカー編集部 撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2021年6月26日号

【画像ギャラリー】デザインも一新! 全22枚の写真でVWティグアンの進化を確かめる


■欧州SUV販売台数3位(2021年第1四半期)の実力は?

 ご多聞に漏れず、フォルクスワーゲンでもSUVが絶好調だ。

 今年に入ってからは、 T-Crossの販売台数がブランドのトップに立っている。

 実際T-Crossは大変デキのいいクルマで、私も大好きなのですが、もうちょっとデカいSUVが欲しい方もいるだろう。

 VWの場合、日本では一番下がT-Cross、続いてT-Roc、そして一番上がティグアンというSUVのラインナップで、小さい順に売れゆきがいいが、欧州ではティグアンが長年SUVのベス トセラーで、最も定番。

 当然気合が入っている。そのティグアンがマイナーチェンジを受けた。今回導入されたのは、1.5LガソリンターボのFFモデルのみ。従来の1.4Lガソリンターボに代わるモデルですね。

新しいLEDヘッドライトデザインを採用したほか、新しくなったエンブレムデザインを採用。先代よりも高級感と力強さが増した
新しいLEDヘッドライトデザインを採用したほか、新しくなったエンブレムデザインを採用。先代よりも高級感と力強さが増した
フロントデザイン変更の影響で全長が15mm伸び4515mmに
フロントデザイン変更の影響で全長が15mm伸び4515mmに

 試乗したのは、484万円の「エレガンス」をベースにした「ファーストエディション」。オプション込みのお値段は525万円也。

 エンジンのほかに主な変更点は、まずはフロントフェイス。

 VWのSUVはどれもこれも見た目が地味で堅実で、なかでもティグアンは最も「公務員的」だったけど、T-CrossやT-Rocと同様、 ややアグレッシブな顔つきに変更された。

 おかげで3台の見分けがものすごく難しくなったが、今どきっぽさは増強されている。

 100cc排気量アップされたエンジンは、スペック的には従来の1.4Lとほぼ同じながら、効率アップや気筒休止システムの導入によって、燃費が2割ほど向上している。

シンプルで使いやすいインパネまわり。デジタルメーターは大型で、地図も表示されて使いやすい
シンプルで使いやすいインパネまわり。デジタルメーターは大型で、地図も表示されて使いやすい
気筒休止機能が付いた1.5Lターボエンジンを搭載。DSGが6速から7速に変更された
気筒休止機能が付いた1.5Lターボエンジンを搭載。DSGが6速から7速に変更された

 走った印象は実にイイ。

 全域でトルクがあり、フツーに流せば実に静か。それでいて、アクセルを深く踏み込んでブチ回すと、スポーティで勇ましいサウンドが響き、元気よく加速する。

 ボディのしっかり感も微妙に増しており、乗り味はまさに「しなやかスポーティ」のお手本。のんびり流しても元気にコーナーを攻めても、すべてがピタッと決まって実に気持ちイイ。

トルク、加速、乗り味。辛口の清水氏を「実に気持ちいい」と言わしめるティグアン
トルク、加速、乗り味。辛口の清水氏を「実に気持ちいい」と言わしめるティグアン
全長が15mm伸びたほかは、全幅1840mm、全高1675mm、ホイールベース2675mmと先代と変わらない
全長が15mm伸びたほかは、全幅1840mm、全高1675mm、ホイールベース2675mmと先代と変わらない

 運転支援システムは、「トラフィックアシスト」から「トラベルアシスト」に進化したが、レーンキープの実力は控え目で、正直、あまり差が実感できなかった。過大な期待は禁物だ。

 新型ティグアンは、今年秋に320psを誇る2Lターボエンジンの「R」が導入予定だが、ディーゼルに関しては未定。

 VWはディーゼルを見限りつつあるのだろうか? 確かにディーゼルのトルクと燃費は魅力だが、排ガス対策の強化で出足が鈍るなどのネガも目立つ。内燃エンジンは高効率なガソリンにシフトし、電動化に邁進する方針なのでしょう。

運転支援システムの進化があまり感じられなかったのは今後の課題かもしれない
運転支援システムの進化があまり感じられなかったのは今後の課題かもしれない

■ティグアン TSI First Edition 主要諸元
・全長×全幅×全高:4515×1840×1675mm
・ホイールベース:2675mm
・車両重量:1580kg
・最小回転半径:5.4m
・エンジン:直4DOHC+ターボ
・総排気量:1497cc
・最高出力:150ps/5000-6000rpm
・最大トルク:25.5kgm/1500-3500rpm
・トランスミッション:7速DSG
・WLTCモード燃費:14.3km/L
・価格:524万9000円


次ページは : 【番外コラム】T-Roc、T-Crossもさらに充実。モデル・グレードが追加された

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