後席シートを外して抜く方法もあるが、整備の知識がない方はやるべきではない
ほとんどのクルマの燃料タンクは、後席シートの下に設置されている。ひと昔前のクルマには、メンテナンス用にガソリンタンクのドレンが、クルマ下に取り付けられていたが、現在は盗難を防ぐためほとんど取り付けられていない。
そのためクルマの下にもぐりこんでガソリンを抜き取るということはできず、燃料タンクから直接取り出すには、シートを外してタンクにアクセスするしかない。
シートを外して内装材をめくると燃料ポンプユニットにアクセスできる小さなフタが取り付けられていることがある。このフタを外し、ユニットを固定しているボルトを外して、隙間からタンク内部に給油ポンプのチューブを挿入するという方法もある。ホンダのセンタータンクレイアウトの場合は、センターコンソールを外し、パーキングブレーキレバーの下あたりに位置する。
車種によっては燃料供給用のホースや配線などが邪魔になるのでいろいろ外したくなるかもしれないが、むやみに外すとホースからガソリンが溢れ、引火する恐れもあるのでできるだけ外さないようにしたい。もちろん、バッテリーの端子はあらかじめ外しておくことや、タンク内部に異物が混入しないよう注意する必要がある。
またこの方法でうまくガソリンを抜くことができたとしても、燃料ポンプユニットを戻す際にパッキンがずれてしまうと、隙間から燃料が漏れたり、車内にガソリンの臭いが充満してしまうこともある。
他にも燃料ポンプに直接電気を流し、ポンプを作動させて中の燃料を排出させるという方法もあるが、どちらの方法も、ある程度クルマの整備の知識が必要であり、あまり知識のない方はやらないほうがいいだろう。安全に関わる部分なだけに、素人判断で安易に手を出すのは危険だ。
近所のスタンドの災害対応能力を知っておくほうが、安全で安心
しつこく言うが、ガソリンは大変危険な物質であり、相当な緊急事態でなければ、クルマからガソリンを取り出そうなどと考えてはいけない。しかし災害の多い日本では、いつどんな事態に陥るかわからない。災害時の緊急用として、いざという時に自分のクルマから燃料を取り出すことができるかどうかを事前に調べておくことは必要なことかもしれない。
自宅に緊急用として燃料を保管しておくという方法もあるが、ガソリン用と定められた容器でなければならないことと、40L以上のガソリンを保管する場合は消防機関に届け出が必要となり、200L以上の場合は許可も必要となる。
災害時への備えとしては、ガソリンや軽油の調達は、ガソリンスタンドに頼るとして、自宅近くに、災害対応能力の高い、災害対応型給油所もしくは住民拠点サービスステーションであるかどうかを確認しておくことのほうが、より安全で安心だ。
「給油」の人気記事を見る
コメント
コメントの使い方