エンジンが壊れる瞬間エンジン内で起きていることと簡単に気づける注意点

エンジンルームから煙や水蒸気、マフラーから白煙が→冷却系の不具合による「オーバーヒート」

 「オーバーヒート」とは、本来80度前後に制御されるはずのエンジン冷却水の温度が、100度以上に上昇して沸騰してしまう不具合です。シリンダーヘッドの下面が熱によって歪み、シリンダブロック上面との間に挟んであるシリンダーヘッドガスケットから燃焼ガスや沸騰した冷却水が吹き抜けて、エンジンが停止します。

 主としてラジエーターやサーモスタット、ウォーターポンプの作動不良、冷却系配管からの冷却水漏れといった冷却系の不具合によって発生します。

 冷却水や燃焼ガスの吹き抜けが発生すると、シリンダーヘッド下面から煙(燃焼ガス)や白い水蒸気が出てきます。また、冷却水経路とオイル経路がつながると、燃焼室に水やオイルが混入するので、排気から白煙が発生します。インパネ内には冷却水温計があるので、その指示によって早めにオーバーヒートを察知することができます。

「キンキン」「カリカリ」などの異常な燃焼音→ピストンや点火プラグの溶損

 激しいプレイグやノッキングによって燃焼温度が過昇温すると、ピストンや点火プラグが溶損してエンジンが止まります。ノッキングは、燃焼火炎が広がる前に燃焼室端面で未燃混合気が自己着火する現象。プレイグは、点火スパークの火花でなく、点火の前に燃焼室壁面や点火プラグがヒートスポットになって熱面着火する現象です。

 原因は、オーバーヒートなどで燃焼室の壁面や点火プラグの温度が異常に上昇する、あるいは点火系の不具合によって点火スパークが適正な時期に飛ばないなどです。

 異常燃焼が起こると、キンキン/カリカリといった通常とは異なる大きな燃焼音が発生します。ノッキングは、すぐに大きなトラブルになることはありませんが、プレイグは即座に点火プラグやピストンが溶損することがあるので危険です。

ノッキングは未燃ガスの自己着火、プレイグはヒートスポットによる熱面着火(イラスト:著者作成)
ノッキングは未燃ガスの自己着火、プレイグはヒートスポットによる熱面着火(イラスト:著者作成)

災害による異物混入

 砂などの燃えない異物がシリンダーに混入すると、ピストンとシリンダーライナーの摺動面が損傷します。また水害などでシリンダーの中に水が浸入すると、ウォーターハンマー現象が起こり、エンジンが破損します。ウォーターハンマーとは、非圧縮の水を無理やりピストンで圧縮することによって、コンロッドやクランクシャフトが曲がったり、酷い場合は折損する現象です。

 異物混入や水の侵入は、災害や水害にあった場合に起こりうる不具合です。災害に被った直後にクルマを動かす場合は、エアクリーナーのエレメントをチェックして、砂や水が入った形跡がないか確認しましょう。

シリンダーに大量の水が浸入すると、ウォーターハンマーによってコンロッドが曲がったり、折損する恐れがある(イラスト:著者作成)
シリンダーに大量の水が浸入すると、ウォーターハンマーによってコンロッドが曲がったり、折損する恐れがある(イラスト:著者作成)

インパネの警告灯が点灯したらすぐに点検を

 クルマのインパネには、故障や不具合などをドライバーに注意、警告する警告灯が装備されています。エンジン関係では、エンジン警告灯、エンジン油圧警告灯、水温警告灯の3つです。

・エンジン警告灯
 エンジン/トランスミッションに何かしらの異常がある場合、各種センサーが検知して警告灯が点灯
・エンジン油圧警告灯
 潤滑オイル不足や油圧が下がった時に、点灯または点滅
・水温警告灯
 冷却水不足やサーモスタット、ラジエーターの作動不良によって、エンジン冷却水が過昇温すると点灯

 警告灯が点灯したら、速やかにディーラーや整備工場で点検を行う必要があります。迅速に対応すれば、エンジンブローは回避可能です。

次ページは : 不具合の前兆や警告灯を無視しないで!!

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