「ヤリスクロス」や「カローラクロス」、そして「ノートAUTECHクロスオーバー」など、派生型SUVがいま続々と登場している。ベースとなるモデルの車高をあげ、SUVとしての機能をもたせた派生型SUVは、SUV全盛の現代において効率のいいモデルであるが、この派生型SUVをいち早く実現したものの、このブームをみる前に去ってしまったモデルがある。「スカイラインクロスオーバー」だ。
期待されつつも、当時日本市場ではユーザーに受け入れられなかった、スカイラインクロスオーバー。もし派生型SUV全盛である現代に登場していたら、ヒットすることができたのだろうか。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、INFINITI
「インフィニティEX」の日本向けモデル
1957年に初代が登場し、以来60年以上にわたって販売された、日産「スカイライン」。この間「スカイライン」と冠して登場したモデルのほとんどが、セダンタイプ、もしくはクーペタイプ(※3代目スカイラインにはバンタイプもあったが)で販売されてきた。そのなかで唯一、SUVタイプで販売されたのが、スカイラインクロスオーバー(2009~2016年)だ。
スカイラインクロスオーバーはもともと、日産の北米向け高級車チャンネル「インフィニティ」のクロスオーバーSUV「EX35」として、2007年に誕生したモデル。プラットフォームなどのコンポーネントは、ほぼG35(日本名:V36型スカイライン)と共用しており、製造も日産栃木工場で、G35と同じラインの上を流れていた。
3.7LのV6エンジンと7速AT、駆動方式はFRもしくは4WDを組み合わせ、「G35のハンドリングと乗り心地の良さを持つ小型プレミアムSUV」と位置づけられていた。
EX35はその後、インフィニティブランドの呼称統一を受け、2014年モデルから「QX50」と名称変更し、販売は2017年まで継続された。2018年のフルモデルチェンジで2代目「QX50」となり、「FFベースのミドルサイズSUV」へと生まれ変わっている。2.0リットルVCRターボエンジンを積んだこの2代目QX50はいま、インフィニティの稼ぎ頭だ。
そんなEX35を「スカイラインクロスオーバー」として、2009年に日本に導入。登場当時、スタイリングやスカイライン譲りの走行性能に関して、非常に評価が高かったスカイラインクロスオーバーだが、SUVという割には後席や荷室が狭く、日本には燃費の悪い3.5Lエンジン仕様しか導入されず、価格も2WDが420万~472.5万円、4WDが447.3万~499.8万円と非常に高額。
せめて中国で出していた2.5リットルのVQ25HR型エンジン仕様(しかもホイールベースを80mm伸ばしたロングホイールベース仕様!!)でもあれば、違った結果となっていたかもしれないが、最後まで3.7Lエンジン一本で押し、2016年にひっそりと販売を終了した。
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