スペックには表れない進化を果たした新型WRX
新型WRXのコンセプトについて、スバルは「初代以来4世代に渡って受け継いできたWRXらしさを継承しつつ、さらなる高みを目指し、パフォーマンスカーとしての価値、そして実用的なセダンとしての価値を進化させたモデル」と、している。
そのコンセプトを実現させるため、WRXとして初めてスバルグローバルプラットフォームを採用したほか、フルインナーフレーム構造や構造用接着剤を使用することで、高剛性化を実現。ハンドリング性能や乗り心地、走りを向上させている。また、エンジンは2.4L直噴ガソリンターボで、最高出力は271ps。トランスミッションは6速MTと8速マニュアルモード付きCVT「スバルパフォーマンストランスミッション」が搭載される。
と、新型WRXは、スペック面ではかなり控えめな印象ではあるが、メカニズムは確実に進化している。実は、今回の樹脂フェンダーアーチモールも、このメカニズムの進化のように、「スペックには表れない進化」のひとつなのだ。
樹脂パーツにこそWRXのこだわりが
新型WRXでは、「スポーツサイドガーニッシュ」と呼んでいる、フェンダーアーチモール。新型WRXでは、このフェンダーアーチモールや、サイドシルプロテクターなどの樹脂パーツに、ヘキサゴンパターンの「空力テクスチャー」が採用されている。
この空力テクスチャーは、スバルBRZ/トヨタGR86のフロントバンパーにも採用されているものなのだが、その面に当たる空気の剥離を抑え、大きな渦の発生を防ぐ効果がある。ぱっと見では分からないほど精緻で微妙な表面処理なのだが、これにより乱流の発生を抑制し、操縦安定性を向上させることができるという。
また、フロントフェンダーの後部とリアバンパー後部にはエアアウトレット(排気口)が設けられている。これにより車輪付近の空気が外に排出され、前輪タイヤの揚力を抑えて操縦安定性を向上させることができる。
フェンダーはボディカラー同色にしてカッコよく仕上げることもできるだろうが、塗装すると模様の隙間に塗料が入り込んでしまい効果が無くなることもあり、この「空力テクスチャー」を有効なものとするために、細かな模様を実現できる樹脂成型で作ったフェンダーをそのまま使うことにした、と考える方が、WRXにとっては自然だろう。
つまりこの樹脂製のフェンダーアーチモールは「ハイパフォーマンスカー」として重要なパーツの一つであり、機能性を優先させた結果だと考えられるのだ。
ちなみに、WRX STI NBRレースカー2019 年モデルでも、ボディ表面にザラザラした「サメ肌塗装」をしていた事例もある(ダウンフォースなどに違いは出ていないそうだが、ドライバーは走行性能に違いを感じていたとのこと)。機能美に強く惹かれる筆者としては、WRXのそんなこだわりを見せつけられると「悪くない」と感じる。
スペックだけにこだわらない、スバルならでは
新型WRXが、パフォーマンスモデルとしての機能という意味でフェンダーに樹脂パーツを採用したことは、スペックだけでは語れないスバルならではの個性、といえるだろう。デザインとしては賛否両論分かれるところだが、もっと機能性をアピールすることで徐々に受け入れられていく可能性もある。
ただし、日本仕様の詳細はまだ明らかにされておらず、そのままのデザインで登場するかは不明である。日本に導入される際にはぜひそのままで、スバルのこだわりを徹底的に見せつけてほしい。
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