独創的なフォルムとディテール! 日産 テラノが見せた可能性

独創的なフォルムとディテール! 日産 テラノの可能性

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は日産 テラノ(1986-2002)をご紹介します。

文/伊達軍曹 写真/NISSAN

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■「都市型SUV」の先駆として人気を博した初代テラノ

「ヨンクブーム」に乗って大ヒットを記録した三菱 パジェロやトヨタ ハイラックスサーフなどを追撃すべく、日産が送り出した新種のSUV。

 デザイン面で他社ヨンクの先を行くため、基本デザインはSUVの本場カリフォルニアの「ニッサン・デザインセンター・インターナショナル(NDI)」で行い、独創的なフォルムとディテールを手に入れた。

 だがその独創性が仇となったか、パジェロやハイラックスサーフの牙城を崩すには至らず、やや没個性的デザインとなった2代目の販売を経て、日本市場向けの生産と販売は終了となったモデル。

 それが、日産 テラノです。

 1986年8月に発売された初代テラノは、D21型ダットサントラックをベースとするSUV。登場時は2ドアモデルのみがラインナップされました。

初代テラノ(1986年)。発売当初のボディサイズは全長4365mm×全幅1690mm×全高1680mm

 基本デザインを担当したのは、冒頭で述べたとおりアメリカのニッサン・デザインセンター・インターナショナル(NDI)。

 本場カリフォルニアで当時人気だった「2ドアのSUV」という基本形状を採用し、各部をフラッシュサーフェス化したうえで、サイドの中央にはユニークな三角窓を設置しました。

 初代テラノ初期型のデザインは、前後のブリスターフェンダーや「シンプルなのに力強い」といえるフロントマスクの造形などと併せ、「それまでにない独創的なSUVを作り上げることに成功した」と評していいでしょう。

 搭載エンジンは新開発された2.7Lディーゼルで、駆動方式はパートタイム4WDと聞くと「ゴリゴリのクロカン」をイメージしますが、実際の初代テラノはそうではありませんでした。

 前述したスタイリッシュで都会的なデザインと、一般の乗用車に近い着座位置などにより、「乗用車から乗り替えても違和感のないヨンク」としてのキャラクターを目指していたのが、初代日産 テラノという車だったのです。

 その後は1987年10月に3L V6のガソリンエンジンを追加し、これにはAT車も設定。さらに翌1987年11月にはTD27型ディーゼルエンジンにターボチャージャーを追加してTD27T型に刷新し、これにもAT車を設定しました。

 そして1989年10月には4ドアモデルを追加し、1993年1月のマイナーチェンジではオーバーフェンダーを装着したワイドボディも設定しています。

 しかし初代テラノは、一部のユーザーからはそれなり以上の熱い支持を得たものの、全体的な売れ行きとしては三菱 パジェロやトヨタ ハイラックスサーフなど、当時のヨンク界のスター的モデルとの販売差は縮まりませんでした。……デザインがアバンギャルドすぎたのでしょう。

 そうこうしているうちに1995年9月には2代目へのフルモデルチェンジが行われたわけですが、2代目のテラノは、良い意味でアバンギャルドなデザインだった初代とはまったく違う「悪くはないけど、ヨンクとして普通な感じのデザイン」に生まれ変わってしまいました。

2代目テラノ(写真は2001年のモデル)

 その2代目テラノも、決してぜんぜん売れなかったわけではないのですが、記憶の点でも記録の面でも大きなインパクトを残すことはないまま、2002年8月に販売終了となりました。

 その後も海外市場向けモデルは「NISSAN パスファインダー」として進化と販売が続いていますが、「日産 テラノ」は、2002年をもって完全終了と相成ったのです。

■テラノが変えていたかもしれない日本の風景

 日産 テラノが日本においては販売終了となった理由。それは、2代目テラノについては「クロカンブームが終わったから」というひと言で済むでしょう。

 2代目のテラノは、従来からあるパートタイム4WDに加えて、R32型スカイラインGT-Rの4WDシステム「アテーサE-TS」をベースとする「オールモード4×4」を搭載するモデルも設定し、モノコックとラダーフレームの強靭さを併せ持った「モノフレームボディ」も特徴的でした。

 とはいえ「基本的にはクロカン四駆」ではあったため、いい車ではあったのですが時流に乗れず、2000年に発売された次世代SUVのエクストレイルや、2004年登場のムラーノに席を譲らざるを得ない結果となったのです。

日産 ムラーノ
日産 エクストレイル

 それはそれで、残念ではあるものの「時代の流れ的に仕方がない」といえるものでした。

 しかし残念だったのは、なんともスタイリッシュで斬新なデザインをまとっていた初代テラノが、思ったよりは売れなかったことです。

 もちろん「思ったより売れなかった」とはいえ、それなりにヒットした初代テラノではあります。

 しかし、そのデザインが持つポテンシャルからすれば、もっともっと売れてしかるべきだったように思えます。

 そして売れた結果として、時代がクロカン四駆からSUVに変わった後も「ひと味違うスタイリッシュな日産のSUV」としての進化が続き、2021年の街の風景を、もっとステキなものに変えてくれていたら良かったのに……などと、今でも夢想してしまうのです。

 まぁこれは「後の祭り」というやつで、今さらどうすることもできないのですが。

■日産 テラノ(初代)主要諸元
・全長×全幅×全高:4365mm×1690mm×1680mm
・ホイールベース:2650mm
・車重:1740kg
・エンジン:直列4気筒OHVディーゼルターボ、2663cc
・最高出力:100ps/4000rpm
・最大トルク:22.0kgm/2200rpm
・燃費:――km/L
・価格:225万円(1989年式 2ドア ターボ R3M)

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