そもそも「レンジエクステンダー」とは!?
レンジエクステンダーとは、バッテリーEVの航続距離の延長を目的に、バッテリーEVに小型の発電機用エンジンを搭載したシステムのこと。バッテリー容量が少なくなったら、小型エンジンで発電してバッテリーを充電、その電気エネルギーでモーター走行します。
ロータリーエンジンは、軽量コンパクトで静かであることから、このレンジエクステンダーの発電用エンジンに向いているのです。
プラグインハイブリッドもバッテリーEVの航続距離の延長を目的にエンジンを搭載していますが、こちらは、バッテリーの容量が少なくなると、エンジンで走行します(発電も可能)。基本的にはモーター走行ですが、エンジンでも走行でき、両者を組み合わせたハイブリッド走行もできます。
そのため、一般的な出力のエンジンと大容量のバッテリーが必要で、制御も複雑です。
日産「e-POWER」やホンダe:HEVなどのシリーズハイブリッドも類似のシステムですが、こちらは、運転条件や電池残量に応じてエンジンを起動させて電池を充電し、その電気エネルギーを作ってモーター走行します。外部充電機能の代わりにエンジンで発電するので、燃料さえあれば電池切れになることはなく、航続距離に対する不安がないのが特徴です。
いまとなっては役割が不明確、あるとしてもスポット投入では
2021年6月にマツダが発表した「中期技術・商品方針2021」の電動化計画によると、5種類のハイブリッド車 、5種類のプラグインハイブリッド車、3種類のバッテリーEVを、日本、欧州、米国、中国などに2022年から2025年にかけて投入するとしていますが、ロータリー搭載のレンジエクステンダーというキーワードは使われていません。
中期計画で明確にしていないために、さまざまな憶測を呼んでいますが、中期計画で示している間にレンジエクステンダーの投入があるとしたら、レンジエクステンダーが5車種のプラグインハイブリッド車の中に含まれるということになります。しかし、筆者は、レンジエクステンダーの投入について、やや懐疑的な見解を持っています。
バッテリー性能が向上し、航続距離400km以上のバッテリーEVが投入される中で、バッテリーEVに緊急用エンジンを搭載することのメリットは小さいのではないでしょうか。
例え、航続距離が256kmと比較的短い「MX-30」をレンジエクステンダー化したとしても、定期的に充電すれば緊急用エンジンが起動することはほとんどなく、使わないのに無駄にエンジンという重い荷物を積んで走行することになってしまいます。
航続距離が200km以下と短かった時には、レンジエクステンダーの役割はあったとしても、電池性能が改良されつつある今、その存在意義は小さいのではないでしょうか。エンジンを搭載するくらいなら、バッテリーを搭載したらと思ってしまいます。
したがって、この10年ぐらい発表されてきたロータリーエンジンのレンジエクステンダーの出現の可能性は低いと考えます。ただし、マツダはレンジエクステンダーの開発は行っていると明言しているので、あるとしても主役ではなく、スポット的な投入ではないでしょうか。
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マツダの電動化戦略によると、2022年~2025年の間にロータリーエンジンが復活しそうです。ロータリーエンジンには、メリットがある一方でデメリットもあるので、どのように活用してくるのか、楽しみです。
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