神奈川県の藤沢市消防局が今年3月に運用を終えた「救助工作車」が、藤沢市からいすゞ自動車に寄贈された。
同車両は、2005年12月に藤沢市消防局に配備され、約15年にわたり、東日本大震災をはじめとする地震、洪水、土砂などの災害や、交通事故、火災などのあらゆる人命救助活動の場面で活躍してきた。
全国的に珍しい四角い「バス型」キャブを持つ同車両は、今後、いすゞ自動車が運営する企業ミュージアム「いすゞプラザ」に展示される予定だ。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
【画像ギャラリー】未公開写真多数!! 15年の任務で救った生命は数知れず(13枚)画像ギャラリー人命救助のエキスパート
救助工作車はどんなクルマ?
救助工作車とは、交通事故、水難事故、火災、自然災害など、さまざまな救助活動に必要な資機材を搭載した消防車両のこと。
消防の救助隊(レスキュー隊)が用いることから「レスキュー車」と呼ばれることもある。
車両の大きさや装備により、1型~4型まで存在し、今回紹介する車両は5~7t積み級の4×4駆動シャシーをベースとする3型に分類される。
実際に車両を運用していたのは救助活動のエキスパートである「高度救助隊」で、運用期間は2005年12月~今年3月末までの約15年。東日本大震災の救助活動にも派遣されたという。
いすゞフォワード4×4をベースに
数百種類の救助資機材を満載!
藤沢市消防局からいすゞ自動車に寄贈される救助工作車は、いすゞフォワードFTS系4×4高床シャシー(GVW13.5t級)がベース。
車両サイズは全長8560×全幅2500×全高3330mmで、いすゞ自動車子会社のいすゞ車体がシャシー改造を担当。エンジンは7.8L級で直6の6HK1型を搭載する。
ボディ架装は消防車架装で有名な帝国繊維が担当。通常の部隊では対応が困難なあらゆる救助事案に対応するため数百種類の救助資機材を搭載する。
また、このほかにも、自動車を牽引するためのウインチ、重量物を吊り上げるためのクレーン、夜間の救助活動を支援する伸縮式大型照明などが車体各所に装備されている。
全国的に珍しい!?
四角い「バス型」キャブを採用
四角いキャブはいすゞオリジナルで、6人乗りの「バス型」と呼ばれるタイプ。
救助資機材を搭載するための荷台スペースと、救助に必要な装備を迅速に装備するための室内スペースを両立させるため専用設計されたもので、全国的にも非常に珍しいという。
ドアは運転席、助手席の2カ所に加え、後席用の折戸ドアも装備。広い室内スペースを誇るいっぽう、キャブチルト機構が備わらないためエンジンの点検はむずかしそうだ。
ちなみに藤沢市消防局が今年3月に導入した新型救助工作車は、昨今の災害事情を鑑みて一回りコンパクトなベース車両を採用。取り回しが向上するとともに、キャブチルト機構の採用でメンテナンス性も向上しているという。
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