カッコよく便利だった…トヨタの天才タマゴ、エスティマが今でも魅力的な理由

当初は苦戦するも、5ナンバーサイズの登場で人気車に

 しかし初代エスティマは、北米市場向け新世代ミニバンとして開発されたモデルであることから、全幅は1800mmと大きく、価格も300万円オーバーと高価。登場年である1990年の国内登録台数は15,671台、1991年は15,741台と、当初は国内での販売は振るわなかった。

 国内市場でエスティマがよく売れるようになったのは、1992年に、エスティマエミーナ・エスティマルシーダが登場してからだ。2860mmのホイールベースはそのままに、前後のオーバーハングを合計60mmも切り詰め、全幅も5ナンバーサイズの1690mmに。伸びやかなデザインはスポイルされてしまったが、ワンモーションフォルムは維持されていた。

 その結果、1993年は111,321台、1994年は107,715台、1995年は111,494台と、エスティマは10万台越えを連発、人気車へと躍り出た。

1992年に追加されたエスティマの姉妹車「エスティマルシーダ」。発売翌年から、登録台数10万台越えを連発した原動力となっていた
1992年に追加されたエスティマの姉妹車「エスティマルシーダ」。発売翌年から、登録台数10万台越えを連発した原動力となっていた

ミニバンラインアップの拡充で役目を終える

 初代のデビューから10年後の2000年、エスティマは2代目へと移行する。特徴のひとつであったエンジンのミッドシップレイアウトではなく、より大きなV6エンジンを搭載するため、搭載スペースを確保しやすいFFレイアウトで勝負。初代のミッドシップレイアウトは、エンジニアリング的には注目に値するのだが、ファミリー層にはどうだってよかったのだろう。初代のワンモーションフォルムは維持されたことで、エスティマは初代に続き2代目も人気を集めた。

 2006年には3代目へとモデルチェンジ。そこから14年間もの長い間、製造販売された3代目エスティマだが、アルファード/ヴェルファイアの躍進、そして、ノア/ヴォクシー/エスクワイアといったミドルクラスミニバンの進化など、ミニバンラインアップが拡充したことで、その存在価値が薄れ、2020年、その役目を終えた。

いまも魅力的にみえる理由は「他のミニバンとは違う」から

 先進支援装備の搭載が少なかったことで、クルマの機能性としては置いてきぼりを食らった形となった最終型エスティマ。エスティマに関しては、「アル/ヴェルはどうしても苦手、ノア/ヴォクシーも普通過ぎて避けたい。そのため(エスティマからの)乗り換え先がない」というコメントをよく目にする。やはりエスティマ最大の魅力は、唯一無二である、あのワンモーションフォルムだったのだろう。

 エスティマの代名詞ともいえる、あのワンモーションフォルムは、3世代約30年間に渡って貫き通されたが、モデル末期には新鮮味に欠けてしまっていたと言わざるを得ず、より刺激的だったアルファード/ヴェルファイアに流行が移行してしまったことは、仕方のないことだった。

 しかし、デザインのトレンドは10年たてば大きく変わり、昨今の四角いミニバンに飽きる日は必ず来る。その時がエスティマ復活のタイミングだ。

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 (編集部注/本誌編集部スクープ班の取材によると、トヨタ内部で次期エスティマ開発計画は存在しているという。e-TNGAを使用したEVミニバンであり、登場にはまだ数年を要するが、スタイリッシュで先進的なミニバンが世に出る可能性が続いているのはありがたい話。トヨタさん、楽しみにお待ちしております)

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