このところトラックの左折巻き込み事故が相次いで発生している。特に大型トラックに自転車が巻き込まれる事故が多発しており、残念ながら被害者が死亡するケースがあとを絶たない。
大型トラックと自転車の左折事故はなぜ起きるのか? どうしたら防ぐことができるのか?
これまで注意義務を怠ったトラックドライバーの責任とみなされてきた左折事故だが、事故をなくすためには、自転車に乗る人たちの注意義務や安全意識の向上も必要なのではないか?
悲惨な交通事故をなくすために、あらためて大型トラックと自転車の左折巻き込み事故の実際を検証してみた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部・多賀まりお
■左折事故は注意義務を怠ったドライバーの過失だが……
実は、トラックの左折巻き込み事故は最近頻発するようになった事故ではない。ご年配の方なら覚えておいでだろう、1978年には大型ダンプによる左折巻き込み事故で自転車の母娘3人が死亡し、大きな社会問題になった。
連日マスコミに取り上げられ、行政やトラックメーカーに対策を求めるとともに、自転車や歩行者などにも左折巻き込み事故に対する注意喚起がなされたものだ。
ただ、こういった注意喚起も悲惨な事故の記憶が薄れるとともに一般の人たちに共有されることが少なくなり、注意を怠ったせいで、また事故が繰り返されてしまうのだ。
トラックの左折事故は、どんな状況であっても注意義務を怠ったドライバーの過失と認定されるケースがほとんどである。
また、自転車はトラックに比べ圧倒的に「交通弱者」であり被害も大きい。その分、過失割合もトラックのほうがも圧倒的に大きく認定されるのだ。
■大型トラックには死角がある
では、なぜ大型トラックの左折事故は起きるのだろうか?
トラックの運転席に座った経験はおありだろうか?
車高が高く、フロントウィンドウが広大な大型トラックの視界は極めて良好で気持ちがいい。ただし、それは前方視界に限ってのこと。
大型トラックで一般的なバンボディやウイングボディの場合、ルームミラーは役に立たないし、バックカメラがなければリアはまったくの死角となる。車両の両サイドの視界はサイドミラーに頼ることになるが、車体が大きい分、当たり前だがリアに行けば行くほど後方の画像は小さくなり、確認がしにくくなる。
特に右側の運転席からは、ミラー越しの左サイド後方は極めて見づらく、これが左折巻き込み事故を引き起こすひとつの要因になっている。
自転車に乗っている人は「トラックから見えているでしょ」と思っているかもしれないが、ドライバーからは左サイドから接近してくる自転車が見えていない可能性も多分にあるのだ。
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