新型ノア/ヴォクシーが登場して、もうすぐ2か月。販売は絶好調のようで、既に4ヶ月以上の納車待ちが発生しているという。
新型ノア/ヴォクシーは、全高を先代よりも70mmも上げ、同社のフラッグシップミニバン「アルファード」に引けをとらない迫力を得た。特にヴォクシーは顔面の迫力がさらに増し、リアスタイルも、アルファード似の引き締まったデザインとなったことで、アルファードユーザーにもある程度刺さると考えられる。
価格面でも、新型ヴォクシーの最上級モデルと、アルファードのベースグレードでは価格差がそれほどなく、「すこしモデルの古いフラッグシップを買うか、下位にはなるが最新モデルを買うか…」は、悩ましいところだ。
そこで今回、アルファードのベースグレードと新型ヴォクシーの最上級グレードを徹底比較。新型ヴォクシーの下剋上となるか!? アルファードはフラッグシップとしてのプライドを保てるか!?
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
アルファードのベースよりも、新型ヴォクシーの最上級のほうが15万円高い
アルファードの最もベーシックなモデルである「2.5Lガソリン X/2WD」は、車両価格359万円(税込)だ。8人乗り仕様で、16インチサイズのタイヤを装着した(エアロタイプではない)標準デザインとなるこのグレードが、アルファード最安となる。7人乗りは、ひとつグレードが上がった「S」(398万円)。7人乗りは独立式のキャプテンシートになるためだ。
新型ヴォクシーはというと、ハイブリッド2WDの最上級モデル「HYBRID S-Z」が374万円。「HYBRID S-G E-Four」も366万円と価格が近い。実際には、モデル末期のアルファードは値引が期待できるので、もうちょっとアルファードの方が安くなるだろうが、価格設定はこのような状況だ。
アルファードはファミリーカーとしてならベースグレードのほうが◎
アルファードのよさは、なんといっても、迫力あるボディサイズと、トヨタのフラッグシップミニバンとしての存在感だ。新型ヴォクシーよりも格上であり、「大きなクルマでゆったりと走らせる優雅さ」は、小さなクルマでは決して味わえない優越感を得られる。
ベースグレードとなると、シートがファブリック素材であったり、運転席パワーシート無し、パワーバックドア無し、センターコンソールボックスが簡素になったりするが、それでもアルファードはアルファードだ。新型ヴォクシーでは代えがたいオーラがある。
また、アルファードは、2列目キャプテンシートの7人乗りが似合うクルマだが、ベースグレードの8人乗りは、例えば5人乗車の場合に便利。7人乗りだと、5人が乗る場合はどうしても3列目に1人乗ることになってしまう。3列目からでは、走行中に1列目と2列目で交わされている会話は、ほとんど聞こえず、話に参加することが難しくなる。「多人数乗車」を目的としてアルファードを購入する場合は、高級感あふれる7人乗りよりも、かえって8人乗りの方が便利なのだ。
2列目のアレンジも、8人乗りの方が、自由度は多い。2列目シートがチップアップ(セカンドシートの座面を持ち上げられる機構)ができるため、7人乗りよりもラゲッジルームの最大積載量が大きい。自転車や長物を積載するなど、ファミリーカーとして活用するのであれば、「最安アルファード」とはいっても、「かえってこのほうが便利」という考え方をすることもできる。
デメリットは、本来アルファードが想定している7人乗り向けのラグジュアリーな使い方ができないことと、人気グレードであるエアロパッケージではないため、アルファードであっても、リセールはそれなりとなる点。ちなみに、最も人気が高いグレードはS“Cパッケージ”(ガソリン2WD、461万円)だ。
アルファードという「優越感」を味わいつつ、ミニバン本来の使い勝手も得られる。これがアルファードベースグレードのよさであろう。
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