速度取り締まりの新兵器「半固定式」移動オービスいよいよ都内でテスト

■半固定式は2021年4月に阪神高速に出現!

 2020年春以降は、交通量が激減した首都高を暴走するルーレット族の取り締まりを目的として、首都高速都心環状線や9号深川線などの首都高速上で移動式オービスを使った取り締まりも行われるようになった。

 なお、移動式オービスの怖いところは、これまで速度取り締まりが行われることはほとんどなかった狭い住宅地の道路や、歩車分離ができていない繁華街の道路など、いわゆる生活道路での運用が可能となったことだ。これらの場所は最高速度が30km/h以下に制限されていることも多い。超過速度が10-20km/h以下、走行速度が40-50km/h程度であっても速度違反の取り締まり対象となるので、「ゾーン30」など歩行者が多い片側1車線の道路であっても慎重に運転する必要がある(編集部注/安全運転は大前提です!)。

 そして、2021年4月には阪神高速に「半固定式」移動オービスなるものが登場した。筆者は昨年、運用が開始される直前(土台だけの状態)と、直後(土台の中にオービスが入った状態)に阪神高速上の3か所で確認しているが、半固定式とはオービスを使用するための土台を複数個所に設置し、オービス本体だけを入れ替えながら取り締まりを行う方式だ。

2021年4月阪神高速に国内初導入された半固定式移動オービス
2021年4月阪神高速に国内初導入された半固定式移動オービス

 つまり、金網で囲まれた土台の中にオービスが入っているかどうかは直前になるまで確認できないため、土台がある場所ではおのずとスピードを落とすようになる。そのような土台が増えて行けば全体として速度が落ち、安全運転が行われ、速度超過による事故を減らすのが警察の狙いだ。

 オービスを入れて取り締まる場合も、半固定式であれば取り締まりのための人員も不要なので、通常の移動オービスのように、ワンボックスを出して警察官が乗り込んで……という手間もいらず、また「ワンボックスが停まっているからあそこで移動式オービスによる速度取り締まりをやっている!」と気付かれることもない。「半固定式」ではまさに固定式と移動式の「いいとこどり」をした取り締まりが可能となる。

■これからは「半固定式」移動オービスが全国に増える?

 半固定式移動オービスのテスト風景を撮影したのは、Twitter(取り締まり情報ワニ@一都三県)やYoutube(取締りワニ)で交通取り締まり情報を発信するワニさんだ。

尾根幹道路で行われていたテスト風景。台車の上にオービスのカメラ部分と測定器が並んでいる(ワニさんYoutubeよりスクリーンショット)
尾根幹道路で行われていたテスト風景。台車の上にオービスのカメラ部分と測定器が並んでいる(ワニさんYoutubeよりスクリーンショット)

 ワニさんにテスト風景を撮影した時の様子を聞いてみた。

「パッと見た時、民間人がなぜオービスを? と不思議に思ったのですが、その直後にオービスガイドさんが『半固定の動作テストが行われています』とツイートされたので撮影に入りました。

 1台のワンボックスが停まっており、その前に移動式オービスの機械が設置されていました。最初はもう1台クルマがいましたが撮影に入った時は一台だけになっており動画のとおり2人体制でのテストが行われてました。

 私が撮影を開始してから15分ほどで撤収を始めたのですが、第一報から2時間ほど経っていたので、単にテストの終了時間だったのか? それとも私の撮影を嫌がって撤収したのかは不明です。

 ちなみに手前の男性は終始こちらを睨みつけるように見てました。私も以前、人から興味本位で撮影されるような職業に何度かついてたことがあるので嫌な気持ちは分かるのですが、ちょっと異様な感じを受けました。」

■取締りワニ(Youtube)
■取り締まり情報ワニ@一都三県(Twitter)

 ところで、なぜこれがLSM-300や同310など通常の移動式オービスではなく、半固定式と言えるのか? それは阪神高速に設置された半固定式オービスと比べるとよく分かる。

半固定式ではカメラと計測器が横並びの状態で設置される他、土台からの脱着がしやすいよう上部に取っ手がついているのが特徴
半固定式ではカメラと計測器が横並びの状態で設置される他、土台からの脱着がしやすいよう上部に取っ手がついているのが特徴

 ワニさん撮影の画像を見ると、

・二つに分離している機器の左側はストロボ。右側にカメラとレーザー計測器が収められている
・二つの機械の上には持ち運びをしやすくするための、「取っ手」がついており、複数の土台で入れ替えながら使うことが想定されている

 なお、オービスの前にはセンサーらしきものも認められている。これはなんなのか?

 全国のオービス設置情報や取り締まりに関する情報を知らせてくれるアプリ『オービスガイド』を運営する有限会社パソヤ代表の大須賀克己氏によると、

「おそらくこのセンサーは、出荷前の半固定式移動オービスが計測した速度が正しいかを検証するためのものと思います。手前の2本のラインはループコイル式オービスと同じ仕組みで正しい速度を測っていると思います。それぞれの計測した速度が合っているか? を照合することが目的ですね。もちろん他の移動式オービスの近辺にはこのようなものはありませんから、出荷前の最終テストでしょう。」

 なるほど、出荷直前の最終テストのようだが、果たしてここでテストされた半固定式移動オービスはどこで運用されるのだろうか?

 少し調べてみたところ、長野・熊本・茨城の3県で導入が予定されていることが分かった。おそらく新年度となる2022年4月1日以降、半固定式移動オービスを使った取り締まりが行われるのだろう。

 最後にオービスガイド大須賀氏に今後の見通しについて聞いてみた。

「最近ハイペースで固定式オービスの撤去が進んでいます。今年に入りすでに12箇所の撤去が確認できました。移動式オービスは近くに警察官が待機し、通常2〜3時間の運用で取締りをします。さらに高速道路上などでは、設置も運用も警察官にとって危険です。

 それに対し、半固定式オービスは無人で24時間体制で運用し続けることができます。さらに、ベースとなる土台が3箇所あれば3箇所で速度抑止の効果が見込めます。もちろん固定式オービスを3箇所設置するよりも費用は大幅に安くすみますし、柔軟な運用が可能です。

 今後は半固定式が増えて行くでしょうね。生活道路を含む一般道は移動式オービスで、高速道路などでは半固定式オービスと移動式オービスの併用という運用になってゆくのではないでしょうか。」

 なお、半固定式の移動オービスは今のところLS310とほぼ同じ機能を持っているとのことだが、まったく同じではない。レーザーレーダー探知機による事前の探知は可能とのことだった。

 これまでオービスが撤去された場所の近くには半固定式オービスが設置される可能性が高いと考えられる。撤去されたからといって安心することなく、これまでどおり、制限速度を守った安全運転を心がけてほしい。

【画像ギャラリー】これが…全国に配備……(ゴクリ)速度取り締まりが変わる!! 半固定式オービス実装テストを目撃!!(16枚)画像ギャラリー

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