300台に1台が車検切れで走行!? 国交省の新秘密兵器で摘発せよ!

300台に1台が車検切れで走行!? 国交省の新秘密兵器で摘発せよ!

 トップ画像の「車検切れ」の文字にドキッとされた方、いませんよね? 国土交通省の調査によると、車検切れのまま日本を走っている自動車が0.27%の割合で存在しているといいます。

 車検切れ車両は自動車損害賠償責任保険(強制保険)が切れている可能性も高く、事故を起こされた場合やられ損にもなりかねません。なにより安全上の問題があります。

 国土交通省自動車局では2017年9月、そうした車検切れの車両を検出し取り締まりするべく、可搬式の「ナンバー自動読取装置」のデモンストレーションを同省内で公開しました。同省への取材も交えてお伝えします。

※本稿は2017年のものです。
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2017年11月10日号


■装置導入の経緯

 このシステムは、公道を走行している無車検車の取り締まりのために開発されたという。

 国土交通省によると、自動車検査のデータベース上 車検の有効期限が切れた自動車が約510万台存在するそうだが、平成26年度から2年をかけて全国11カ所の公道で定点調査を行った結果、調査対象台数89万2441台のうちの0.27%となる2404台が無車検であることが判明したそうだ。0.27%という数字は見た目小さく感じるが、母数が大きいため、実数としてはかなり大きくなる。

 このことを重く見た国土交通省が、警告による是正効果を高めるため、今回の装置の導入を決定したという。

 街頭での検査実施のイメージを見てみよう。

街頭検査における車検切れ車両の取締りの流れ(イメージ・国土交通省自動車局の資料より)

① 走行している車両のナンバープレートを自動で読み取り。
② 読み取ったナンバーを、PCのデータベースに自動照合。車検切れの場合、警察官へ引き込みを依頼する。
③ ②の国土交通省担当者から連絡を受けた警察官は、数十〜数百メートル先で、当該車両を検査エリアに誘導する
④ 検査エリアにおいて自動車検査証を確認し、車検切れが確認された場合、国土交通省が警告書を交付する。

■判定表示画面にはこのように映る

 車検が切れていない車両には反応せず、待機画面を表示するようになっている。なお、通常なら検知した車検切れ車両のナンバー情報(履歴)が表示されるが、今回はデモのためほとんど表示されていない。

A. 赤く強調され、車検切れ車両を検知したことを通知。
B. 検知した車検切れ車両のナンバー画像(実写)を表示。
C. 検知した車検切れ車両が走行している画像を表示。
D. 検知した車検切れ車両のナンバー情報を表示。

■装置の実力と今後の運用

 国土交通省自動車局整備課に装置の詳細を聞いてみた。

国土交通省:撮影の角度や距離などは、撮影を回避されないために公表することはできませんが、判別までにかかる時間は1.5秒です。速度は、一般道はもちろん、高速道路まで対応できるシステムとなっています。システムはカメラで撮った映像を、ナンバーを認識するソフトの入ったパソコンで、あらかじめ用意していた車検切れナンバーのデータベースに照合、撮影したナンバーとデータベースのナンバーが一致したら停車を求めるというものです。

編集部:取り締まりを受けた車両は、その後どうなるのでしょうか?

国土交通省:取り締まりを受けた車両は、その場で公道走行不能になりますので、車両運搬車で移動する必要があります(費用は個人負担)。国土交通省としては、当該車両に警告書を交付することになります。

編集部:取り締まりはどのように行うのでしょうか?

国土交通省:取り締まりの際は、警察と連携して行う街頭検査になります。ナンバーの読み取りと警告書の交付は国土交通省が担当し、当該車両を誘導・停止させるのは、警察官が担当することになります。

編集部:今年度配備する予定のエリアはどこになるのでしょうか? また今後の計画は?

国土交通省:配備するエリアに関しては、取り締まりに支障が出ますので公表することはできません。来年度の本格運用に関しては、国土交通省が管轄する北海道から沖縄までの10ブロックすべてに配置することになる計画で、現在予算要求をしている状態です。

※  ※  ※

 無車検車で公道を走行し検挙されると、❶違反点数6点(前歴がない場合)❷道路運送車両法により6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる(無車検車で、かつ自賠責保険も切れていた場合は、①違反点数12点(前歴がない場合)②1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金)ので、充分注意してもらいたい。

ナンバー自動読取装置。三脚の上にカメラを設置。可搬できるNシステムといった感じだ

 なお、今回の記事で触れた公開デモ(2017年9月)のあと国土交通省では、同年10月から12月にかけ全国5箇所においてこの「可搬式 ナンバー自動読取装置」による街頭検査を試行導入した。2018年3月にその結果を発表、そのなかで計7台の車検切れ車両のドライバーに対し、直接指導のうえ警告書を手交したとしている。

 国土交通省によると、このシステムは平成30年度(2018年度)から本格運用を開始するとのことなので、すでにこの仕組みによる車検切れ車の摘発は日本のどこかで始まっている可能性がある。活躍を期待したい。

2018年に国土交通省より発表された、2017年10月〜12月の試行運用実施結果(国土交通省自動車局の資料より)

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