日本の軽トラックは、小さな車体にラダーフレームなどの本格装備を盛り込んだスゴいクルマ。その優れた設計は日本のみならず、世界各国で認められており、現地で独自の進化を遂げたモデルも存在。
ここではそんな軽トラックを中心に、海外で活躍する日本の小さなトラックについて、海外の特装車事情に詳しい緒方五郎氏に解説してもらおう。
文/緒方五郎 写真/各メーカー
【画像ギャラリー】まだまだあるぞ!! 世界各国で働く日本の小さいトラックをチェック!!(12枚)画像ギャラリーピアッジオ「ポーター/ポーターマキシ」
スクーターの「ベスパ」や三輪車の「エイプ」などのブランドで知られるイタリアのピアッジオ社が2020年まで生産していた「ポーター」は、実はダイハツ工業の軽トラック「ハイゼット」がベース。
ピアッジオ社は1992年にダイハツ工業と提携し、7代目「ハイゼット」のバン/トラックの欧州向けモデルを共同生産。ポーターはそのピアッジオ仕様で、2002年にダイハツが欧州市場から撤退した後も独自の改良を続け、2020年まで生産していた。
エンジンはダイハツ設計の1.3Lガソリン、およびそのLPG/CNG仕様と、イギリスのリカルド社が開発した1.2Lディーゼルの大きく3タイプで、バッテリー式EVも設定。後輪シングルタイヤの「ポーター」、ダブルタイヤの「ポーターマキシ」の2種類をラインナップしていた。
写真はチェコの自動車販売会社、I-TEK社が製作したポーターマキシベースの脱着ボディ車で、ホイール付木材チップ加工機を牽引している。ちなみに2021年1月に登場した新型ポーターは中国の北汽福田汽車がベースとなっている。
●ポーター リフトダンプ仕様
同じくチェコのI-TEK社が製作したポーターベースのリフトダンプ。リフトダンプはシザース式リフト機構にダンプ機構を備えた特装車で、日本の軽トラ特装車にも存在する。
●ポーター フードトラック
日本語と富士山が描かれた日本の移動販売車、……ではなくイタリアの移動寿司販売車。昇降ルーフと拡幅ボディを架装し、冷凍ガラスケースなども装備する本格派だ
スズキ「ラビ」
パキスタンでは1980年代にスズキの軽トラック「キャリイ」を国産化。現在も圧倒的なシェアを誇っており、さまざまな特装車の架装ベース車として活躍している。
写真のラビは7代目「キャリイ」のパキスタン仕様で、最大積載量600kg。エンジンは日本仕様より排気量の大きい3気筒800ccを搭載するが、最高出力は37HPと控えめ。ちなみに車両サイズは日本仕様とほぼ同じである。
●ラビ ミニ消毒車
特装車や緊急車両を開発/生産しているコリブラティブ重工がコロナ禍に際して開発したラビベースの消毒車。キャブバックの座席からスプレーガンを操作し、広範囲に消毒剤を噴霧することができる。現地では主に施設内で使用されているという。