ここ数年、大雨による水害のニュースを目にする機会が多い。ここで問題となるのが道路の冠水だ。台風やゲリラ豪雨によって短時間に大量の雨が降ると排水が追いつかず、道路上に水が溢れ出してしまう。こうした冠水路をクルマで走ることは避けるように言われているが、その理由をご存じだろうか?
今回は冠水路の走行がクルマに与える悪影響や、冠水してしまった場合の対処法について紹介していく。特にこれから秋にかけては台風や線状降水帯による豪雨が多発する時期であるため、道路の冠水も起きやすくなる。万が一の際にも落ち着いた対応ができるように参考にしていただきたい。
文/入江 凱、写真/トヨタ、写真AC、Favcars.com
【画像ギャラリー】冠水路の走行はクルマに大ダメージを与える!!(12枚)画像ギャラリークルマが冠水路を走行できる限界ってどれぐらい?
クルマが問題なく走ることができる水深はどのくらいまでなのか? 実際に冠水路を走行した実験をJAFが行っているのでご紹介しよう。
JAFでは冠水したアンダーパスを想定した全長30mのコースを用意し、セダンとSUVの2車種による走行の可否を検証した。水深は30cmと60cm、進入速度は10km/hと30km/hと条件を変えながらテストが行われた。
実験によると、水深30cmであればセダン、SUVともに走りきることができた。しかし、水深60cmになるとセダンは10km/hでの進入した場合は多少の走行はできたものの、最終的にはエンジンが停止してしまった。
エンジンルームの位置が高いSUVにおいては、10km/hでの進入であれば走りきることができたが、30km/hではナンバープレートが歪むほどの衝撃を受けるとともに10mでエンジンが停止してしまった。
ちなみに、水深30cmとは成人男性の場合、おおよそ膝下くらいの水位、水深60cmは腿のあたりがつかるくらいと考えればいいだろう。
ただし、この実験結果は一例であり、車両の設計やさまざまな条件によって結果は異なってくるため30cmというのは一つの目安と考えておこう。
実際には冠水時に正確な水深を計ることはできないし、水の中に落下物などがある可能性もある。道路が冠水したら、安易に「これぐらいなら大丈夫」と自己判断をせず、進入しないことが原則だ。
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