水害から身を守れ!! 豪雨時の運転は超危険!! クルマが冠水路を走っちゃいけないワケ

冠水路を走った時に発生するトラブルは?

水害から身を守れ!! 豪雨時の運転は超危険!! クルマが冠水路を走っちゃいけないワケ
冠水路をクルマで走行するとさまざまなトラブルの発生リスクが高まる。水深が床面の高さを超えればマフラーから水が入り電気系統が故障してパワーウィンドウなどが作動しなくなることもある

 JAFの実験でも示されているが、クルマのエンジンが停止してしまった原因はエアインテークと呼ばれる空気の取り入れ口からエンジン内部にまで水が入り込んでしまったことが大きな原因。

 エンジンは圧縮した燃料と空気の混合気を燃焼させることで作動するが、エンジン内部に水が入ってしまうと適切に圧縮が行えず、最悪の場合はエンジン内部が破壊されてしまうウォーターハンマー現象と呼ばれる重大なトラブルを招く可能性もある。

 他にも冠水路へ進入したり、冠水路の中で動けなくなってしまうことで不具合を起こしたり、乗員に危険を招く場合がある。いくつか具体例を紹介しよう。

■タイヤ
 タイヤが完全に水没してしまうレベルの水深になると、浮力によって車体が浮いてしまい、しっかりとタイヤが接地できなくなり、クルマを動かすことができなくなる恐れがある。水の流れが急な場合、そのまま流されて高い所から落下したり、河川などの危険な場所に流されてしまう危険性がある。

■マフラー
 クルマの床面と同程度の高さにあることが多いマフラーはエアインテーク同様に水が浸入しやすく、その水がエンジン内部に進入してしまい、エンジン停止やウォーターハンマー現象が起きる恐れがある。

■ドア
 水の中でエンジンが停止しまった場合、はじめにドアを開けて脱出を試みるはずだ。しかし、水深がドアの下端を超えてしまうと外からの水圧がドアにかかり、高さが増すほどに開けるのは困難になっていく。

 形状にもよるが、一般的にドアの半分ほどの高さにまでなってしまうと内側から開けることが難しくなると言われている。たとえスライドドアであっても、開ける時に一度外側にドアを押し出す必要があることと、ドア自体が重く大きいため、強い水圧がかかると開かなくなる。

■電気系統
 床面を超える浸水があった場合、電気系統がショートして電動スライドドアやパワーウインドウが操作不能になる恐れがある。

 また、ハイブリッド車や電気自動車では駆動用バッテリーなどがシート下やトランク下、センターコンソールの下といった車体の下部に置かれていることも多い。防水対策は施されているものの、大量の水が浸入してしまえば故障は避けられない。当然、故障すればガソリン車同様、エンジンがストップしてしまう。

クルマが冠水路にハマってしまった時の対処法

水害から身を守れ!! 豪雨時の運転は超危険!! クルマが冠水路を走っちゃいけないワケ
水圧によってドアが開かず、パワーウィンドウも動かなければ脱出用ハンマーなどを使い窓ガラスを割って脱出する。ただし、合わせガラスは割ることが難しいので要注意

 危険を伴うと認識しつつも、実際には冠水路をなんとか走り抜けようという人がほとんどだろう。そんな現実を鑑みると、クルマが冠水路にハマってしまった場合の対処法は絶対に知っておくべきだ。

 まず心してほしいのは、時間が経てばさらに水かさが増すかもしれない状況でそのまま車内に残っているのは危険ということだ。冠水路にハマって動けなくなったら、まずはエンジンを停止して安全に脱出することを考えよう。ドアが開かなかったとしても、水深が窓の高さより低く、パワーウインドウが生きていれば窓を開けて脱出を。

 電気系統がショートしてパワーウインドウが作動しない場合は、市販の脱出用のハンマーなどを使って窓を割って脱出しよう。脱出ハンマーは事故に遭った際などに外れなくなったシートベルトを切断する機能が付いていることが多いため、常備することをお薦めする。

 ただし、フロントガラスに飛散防止などを目的とした特殊なガラスである「合わせガラス」が使用されている場合は、ハンマーを使ったとしても粉砕することはできず、脱出できるほどの穴を開けるのも困難だ。

 フロントガラスが割れなかった場合、サイドやリアのガラスを割って脱出するようにしよう。ただし、一部の車種ではフロント以外のドアガラスにも合わせガラスが採用されていることがあるので、事前にディーラーに確認しておくといいだろう。

 水圧でドアも開かず、窓ガラスを割ることもできない場合、車内に水が満ちるのを待つしかない。車内に水が入ってくるのは不安だろうが、車外と車内の水の高さが同じになると圧力差がなくなり、ドアは開くようになるので、落ち着いてシートベルトを外すなど、脱出の準備をしながら圧力差がなくなりそうなタイミングを見計らい、強くドアを押し開け脱出しよう。

 また、水が引いた後の対処にも注意が必要だ。一度浸水したクルマのエンジンをかけたりするのは重大な故障や車両火災、感電を招くため絶対にNG。エンジンをかけずに、ディーラーやロードサービスに連絡をとり、さらに発火のリスクを回避するためにバッテリーのマイナス端子を外しておこう。

 注意してほしいのはハイブリッド車や電気自動車。これらに使われている高電圧のバッテリーは大変危険なので絶対に触らないようにしよう。

次ページは : 浸水してしまったクルマはその後、今まで通りに乗れる?

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